4月の失業率5.7%へ改善(前年同月6.1%)

失業者の半分が若年層 3割が大学進学者

2017/06/12

フィリピン統計庁(PSA)が発表した2017年4月の雇用統計速報値によると、4月の失業率は5.7%となり前年同月の6.1%から0.4%ポイント改善した。

 15歳以上の人口(2000年国勢調査基準)は6,960万5千人で、労働力参加率は61.4%。就業者数は4,027万1千人で、就業率(雇用率)94.3%、失業者数は244万3千人であった。

 就業者4,027万1千人のうち、農業部門が26.1%、鉱工業部門が18.5%、サービス部門が55.4%を占める。就業形態は、賃金労働者が労働者全体の61.3%、そのうち民間企業労働者は48.8%、自営・事業主は31.9%(有給従業員のない自営業28.2%、事業主3.7%)、無給家内労働者が6.7%であった。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の60.8%であった。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は646万8千人(不完全就業率は16.1%)。
 
 失業者244万3千人のうち、15歳~24歳の失業者の割合は49.5%で若者の失業者の多さが目立つ。次いで25歳~34歳が29.3%、35歳~44歳が9.8%、45歳~54歳が6.7%となっている。また学歴別では、中学校進学・卒業の失業者の割合は44.3%(卒業者は33.5%)、大学進学・卒業者では34.3%(卒業者は20.6%)。性別では、男性63.7%、女性36.3%。

 地域別で失業率が最も高いのはイロコス地域(10.4%)、次いで、首都圏(7.2%)、カラバルソン地域(7.1%)。一方、失業率が最も低かったのは、サンボアンガ半島(2.5%)、次いでミンダナオ・イスラム教徒自治区(2.6%)。

 当地では、雇用統計は1月、4月、7月、10月と毎年4回発表される。10月は年末年始商戦に向けての一時的就業者増加効果で失業率が低下傾向となる。一方、4月は新卒者の労働市場参入により労働力人口が増加する ことで失業率が一般的に上昇しがちである。このように、季節的要因で失業率が季節毎に大きく変動することから、前年同月との比較でないとあまり意味をなさない(17年6月9日のフィリピン統計庁発表より)。



フィリピンの雇用・失業者動向
項目 新基準の失業率など
年月 17年4月 16年4月
15歳以上人口(単位:千人) 69,605 68,167
労働力参加率 61.4% 63.5%
就業率 94.3% 93.9%
失業率 5.7% 6.1%
不完全就業率 16.1% 18.3%
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、17年4月は速報値)


17年4月の地域別就業率・失業率の比較(単位:千人、%)
地域 15歳以上人口 労働力参加率 就業率 失業率 不完全就業率
首都圏 9,053 60.5 92.8 7.2 9.4
コルディリェラ行政地域 1,239 62.0 95.9 4.1 15.7
1-イロコス 3,443 56.6 89.6 10.4 18.7
2-カガヤンバレー 2,364 62.6 96.8 3.2 16.0
3-中央ルソン 7,719 57.4 93.3 6.7 9.7
4A-カラバルソン 9,721 63.7 92.9 7.1 11.5
4B-ミマロパ 2,039 63.5 95.3 4.7 22.1
5-ビコール 4,006 59.1 95.9 4.1 23.2
6-西ビサヤ 3,146 60.6 94.2 5.8 19.1
7-中央ビサヤ 4,191 67.2 94.6 5.4 19.6
8-東ビサヤ 3,081 64.2 96.2 3.8 24.0
9-サンボアンガ半島 2,548 60.9 97.5 2.5 23.6
10-北ミンダナオ 3,239 64.7 94.6 5.4 19.2
11-ダバオ地域 3,434 64.0 95.1 4.9 17.3
12-ソックサージェン 3,078 60.8 95.7 4.3 16.9
カラガ 1,843 65.2 95.3 4.7 23.3
ミンダナオ・イスラム教徒自治区 2,272 48.2 97.4 2.6 9.4
ネグロス島地域 3,189 63.9 94.6 5.4 19.0
フィリピン全体 69,605 61.4 94.3 5.7 16.1
 (出所:フィリピン統計庁資料より作成、速報値