比セブンイレブン独走、5月末2,071店体制に

授権資本2.7倍の16億ペソに、65%株式配当へ

2017/06/19

 フィリピンでもコンビニエンス・ストアが普及期を迎え、マニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。そのなかで、セブンイレブンの強さが際立っている

 フィリピンのセブンイレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2016年末現在)するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2016年末には1995店に達し、フィリピンでの24時間営業のブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約60%を 誇っている。

 2017年に入っても、店舗数は増加傾向を辿り、3月末の店舗数は2031店、5月末には2,071店に達した。前年同月比では2割の増加ペースであり、2016年以降減少傾向となっている比ミニストップ(5月末で前年同月比4%減の493店)や比ファミリーマート(同29%減の73店)との差を広げている。

 PSCは、2017年も35億ペソ投じて400店を新規オープンするとともに、既存店100店の改装を行うなど店舗網拡充を推進する計画である。特に、地方での拡充に注力する方針である。ちなみに、2017年3月末の2,031店の地域別内訳はルソン地域1,649店(うちマニラ首都圏811店)、セブを中心とするビサヤ地域261店、ダバオを中心とするミンダナオ地域121店となっている。すなわち、マニラ首都圏以外での出店の加速化している。5月には、ビサヤ地方の観光地としても名高いボホール島に1号店をオープンした。今後、3年間でボホールに30店出店する意向である。また、ボホール出店などにより、ビサヤ地方の店舗数は268店に増加、2017年末までにビサヤ地方で300店突破を目指すとのことでもある。

 PSCは資本の拡充も図りつつある。16日開催の株主総会において、授権資本額を現行の6億ペソから16億ペソへと増額することを決議した。更に、65%の株式配当実施も決議した。これらは、証券取引委員会(SEC)の承認が前提である。したがって、株式配当割当日などは、SECの承認後に決定される。

 PSCはこれまで6回の株式配当を実施した。株価は、その配当落ちを完全に埋めきりながら大幅上昇を続けており、現行株価(17年6月16日終値は170ペソ)は、この10年間の最安値0.67ペソ(配当調整株価)からは約230倍となっている。


フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(年末・月末値)
年・月 12年 13年 14年 15年 2016年 17年
3月 6月 9月 12月 3月 4月 5月
セブンイレブン 829 1,009 1,282 1,602 1,655 1,740 1,840 1,995 2,031 N.A. 2,071
ミニストップ 337 386 454 519 518 513 501 499 493 492 493
ファミリーマート 0 31 87 120 104 102 101 99 81 76 73
ローソン 0 0 0 16 17 19 24 29 30 31 32
(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはサイト等からの推計値)
注: 比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストア傘下