第1四半期の対外債務、5%減の738億ドル
対GDP比率24.0%へ改善(前年同期末26.5%)
2017/06/20
フィリピン中央銀行(BSP)によると、17年第1四半期(1月~3月)末時点のフィリピンの対外債務残高は738億米ドルとなり、前期末(748億米ドル)から約9億5,800万米ドル減、率にして1.3%縮小した。前年同期末(776億米ドル)からは38億米ドルの縮小となった。
対外債務が前期より減少した主な理由は、1)元本返済の後日報告による前の期の調整、2)非居住者から居住者への比債務の譲渡、3)正味元本返済(2億5,500万米ドル)等による。対外債務減少傾向は、対米ドル円高に伴う外国為替(FX)再評価調整で一部相殺された。
第1四半期末の対外債務残高の対GNI(国民総所得)比は20.0%、対GDP(国内総生産)比は24.0%でそれぞれ前年同期末から縮小した。対外債務デット・サービス・レシオ(対外債務元利返済額を輸出額+サービス収入+海外からの純所得合計で割った比率)は8.7%で、前年同期末の9.2%から改善、また、国際ベンチマークの 20.0~25.0%を大きく下回っており、フィリピンの強い流動性ポジションを証明している。
対外債務指標比較
(注1)新報告基準に基づく
2017年3月末現在の総外貨準備高(GIR)は809億米ドル。GIR対短期債務(元本ベース)比率は5.4倍であった。
対外債務残高738億米ドルのうち中長期債務比率は79.6%。中長期債務の満期までの平均期間は17.4年(公的部門23.1年、民間8.1年)。公的部門の対外債務は377億米ドル(シェア51.0%)で、16年12月末(375億米ドル)から小幅増。また、民間部門の対外債務は361億米ドル(シェア49.0%)で、12月末(372億米ドル)から11億米ドル減少した。
対外債務の外貨別構成比は、米ドル建て63.4% 、円建て12.6%、世界銀行・アジア開発銀行からのドル建て複数通貨借款13.6%、フィリピンペソ(6.5%)を含むその他外貨借款10.5%であった。
対外債務は、 BSP承認/登録のフィリピン非居住者からフィリピン居住者が借りた全タイプの借入金を指す(17年6月16日のフィリピン中央銀行発表より)。
フィリピン対外債務残高(公的セクターと民間合計)推移(新基準)
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)
対外債務が前期より減少した主な理由は、1)
第1四半期末の対外債務残高の対GNI(国民総所得)比は20.
対外債務指標比較
期間 | 1 - 3月 | |
年 | 16年 | 17年 |
対外債務残高(億米ドル) | 776 | 738 |
対GNI比(%) | 21.9 | 20.0 |
対GDP比(%) | 26.5 | 24.0 |
デット・サービス・レシオ(%) | 9.2 | 8.7 |
GIR対対外債務返済額(%) | 1,351.3 | 1,117.4 |
GIR対元本ベース短期債務(%) | 579.7 | 537.1 |
2017年3月末現在の総外貨準備高(GIR)
対外債務残高738億米ドルのうち中長期債務比率は79.6%。
対外債務の外貨別構成比は、米ドル建て63.4% 、円建て12.6%、世界銀行・
対外債務は、 BSP承認/
フィリピン対外債務残高(公的セクターと民間合計)推移(
年・月 | 年末値 | |||||||||
07年 | 08年 | 09年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | |
対外債務残高(億米ドル) | 665 | 652 | 647 | 736 | 756 | 799 | 785 | 777 | 775 | 748 |
対GNI比(%) | 35.5 | 29.7 | 29.0 | 30.6 | 28.1 | 26.5 | 23.8 | 22.5 | 21.9 | 20.4 |
対GDP比(%) | 44.5 | 37.6 | 38.4 | 36.9 | 33.7 | 32.0 | 28.9 | 27.3 | 26.5 | 24.5 |
デット・サービス・レシオ(%) | 10.7 | 10.5 | 11.0 | 9.9 | 9.9 | 7.3 | 8.2 | 6.3 | 5.6 | 6.9 |
GIR対対外債務返済額(%) | 482.6 | 533.3 | 643.1 | 842.7 | 966.3 | 1,269.4 | 1,103.9 | 1,251.9 | 1,444.5 | 1,129.7 |