ハンバーガーのジョリビー、国内1千店到達

国民食との称号、比マクドナルドの2倍の店舗数

2017/07/04

   フィリピンでは、ハンバーガーのジョリビーが、国民食とまで称されるほどの圧倒的な支持を得ている。マクドナルドがハンバーガー市場でトップになれない唯一の主要国がフィリピンでもある。ジョリビーのシェアは約50%以上iと見られる。

 
 ジョリビーはフィリピン最大のファ ストフード企業ジョリビー・フーズ(JFC)によって運営されている。2017年3月末のJFCがマジョリティーを有する事業におけるフィリピン国内店舗数は2,684店に達している。内訳はハンバーガーのジョリビー997店、中華のチャウキン491店、ピザのグリーンウイッチ252店、ケーキ・ベーカリーのレッドリボン398店、鶏肉・バーべキュ-のマン・イナサル470店、バーガー・キング76店 となっている。海外の620店舗を含めた店舗数は3,304店舗である。さらに出資比率50%以下の合弁事業分も含めると総店舗数は3,694店舗となる。

 上記のように、ハンバーガー・チェーンのジョリビーの2017年3月末の国内店舗数は997店で、前年同月末の924店から73店の純増となっている。

 一方、マク ドナルド・フィリピン(比マクドナルド)は、当地の有力持株会社アライアンス・グローバル・グループ(AGI)関連会社のゴールデンアーチス・デベロップメント(GADC)によって展開されている。第1号店は1981年にオープンした。このほど発表されたAGI決算速報などによると、2016年末の比マクドナルド店舗数は526店で、前年同月末の484店から42店の純増となった。

 このようにジョリビーの3月末の国内店舗数997店は、比マクドナルドの約1.9倍であり、その差はなかなか縮小しない。ジョリビーのグループ企業であるバーガー・キング76店を加えればその差はさらに拡大、ジョリビー連合が1,073店で比マクドナルド526店の約2倍強となる。

 このジョリビーの国内第1,000号店が、7月3日、マニラ首都圏ボニファシオ・グローバルシティに(BGC)にオープンした。JFCの創業者であるトニー・タン会長などがテープカット、1千店到達を祝った。

 フィリピンにおいて、ジョリビーがマクドナルドを圧倒している理由は、フィリピン人の食習慣や嗜好を的確に把握したメニューを開発、提供していることで あると考えられる。まず、フィリピン人は甘い味付けを好むが、ハンバーガーのドレッシング、スパゲティー類などは、マクドナルドよりかなり甘い。外国人には甘すぎる味付けと感じられるが、フィリピン人には、基本的には、味や規格が世界標準で統一されたマクドナルドのメニューよりは遥かに好まれていると思わ れる。マクドナルドも、一部ローカル好みのメニユーを取り入れるようになってはいるが、フィリピンの大衆を虜にするには至っていない。
 
 また、フィリピン人はコメが大好きで三食ともに米食というパターンが多い。また、ファースト・フードレストランといえども、スナックではなく本格的な食事を好む消費者が多い。そこで、ジョリビーはライス付きの割安なセットメニューを数多く用意し、コメ好きのフィリピン人の心をしっかり捉えている。

 食の基本である味付けでは、フィリピン人の嗜好を徹底的に重視する一方で、セントラル・キッチンの高度活用、店舗スタッフの作業や顧客対応などは米国方式のマニュアルに沿うなど効率性を追求していることもジョリビーの強かさであるといえよう。
 
 さらに、子供達の誕生パーティーなどイベント会場を提供、宅配、海外フィリピン人就労者(OFW)から留守宅や知人・友人へのプレゼント宅配、グループ内異業種チェーンとのシナジー効果最大化、海外展開拡充、蜜蜂を模したマスコットフル活用などのマーケティング戦略強化に余念がないことも成功につながっている(ジョリビーフーズとアライアンス・グローバル・グループの2017年第1四半期事業報告書などより)。