三菱商事フィリピン分譲住宅事業、好調な発進

センチュリーとの合弁フェーズ1、既に83%を販売

2017/07/23

2016年に創業30周年を迎えたフィリピの有力不動産企業であるセンチュリー・プロパティーズ・グループ(CPG)が、事業基盤拡充・多様化を推進している。主力の首都圏コンドミニアム事業を一層強化するとともに、商業用不動産開発による賃貸事業拡充、マニラ首都圏以外の地方での事業強化などを推進しつつある。さらに、ホテル事業にも参入しつつある。これらにより、新たな成長を目指す。

 オフィス、小売り、メディカルセンターなど商用施設賃貸事業に関しては、既存の「センチュリー・シティモール」、「センチュリア・メディカル・マカティ」などにくわえ、2017年から2019年にかけて、三菱商事との合弁オフィス事業「フォーブス メディア タワー」(地上 34階、述床面積約6万平米、マカティ市)のほか、「エイジアン・センチュリーセンター」(タギグ市ボニファシオ・グローバルシティ)などが完工する見込み。そして、2020年までに賃貸面積が30万平米に達するものと見られる。

 CPGは住宅不動産事業では、分譲住宅開発事業にも参入した。比較的買いやすい価格での住宅を開発し、初めて持ち家を取得する層をメインターゲットとする。CPGは今年2月27日、「ファーストホーム(初めての住宅)部門を創設した」と発表した。そして、4月1日に、ブランド名を「PHirst Park Homes」とすることなどが発表された。

 CPGはこの「PHirst Park Homes」分譲住宅開発事業においても、三菱商事と協働している。三菱商事は2016年11月、「フィリピンにおける不動産デベロッパー大手CPGと共同でカビテ州の分譲住宅開発プロジェクトに参画する」と発表している。

 このPHirst Park Homes」第1号プロジェクトは、マニラ中心部の南に位置するカビテ州タンザにおいて26haの敷地を取得し、約3,000戸の住宅を集積させたコミュニティを開発するというものである。開発は三菱商事40%、センチュリー社60%の出資比率でフィリピン国内に設立の合弁会社を通じて進められている。着工・販売 は2017年から順次行われる。そのうちのフェーズ1(予定販売戸数約1.040戸)の販売が5月27日に開始され、7月央時点で、既に830戸の販売が予約されている。すなわち、予約販売率が83%に達している。一戸当たり販売額は100万ペソから300万ペソであり、予約販売額は10億7,100万ペソに達している。

 マニラ首都圏では、経済成長に伴い急速に人口が増加し、都心部への流入が進んでおり、住宅不足と住宅価格高騰が継続している。フィリピン政府は都心および都心近郊の住環境の整備を喫緊の課題と捉えており、このプロジェクトはこの様なフィリピン政府の課題の解決に寄与するものと考えられる。

 フィリピンは2014年に人口が1億人を突破し、2050年には約1.5億人に達すると予測されている。また、経済的にも過去5年間、GDP成長率年平均約6超%と東南アジア諸国の中でも高い成長を遂げており、今後も若い労働人口の増加や、高い教育水準を背景に、アジアの中で最も成長が期待できる国の一つと位置付けられている。CPGは、三菱商事との合弁事業であるカビテ州タンザ事業を起点に分譲住宅開発事業を推進していく方針である。
 
 一方、三菱商事は、過去3年半の間に、東南アジア地域に於いて、このプロジェクト含め計8件約1万5,000戸の住宅開発に参画してきている。今後も、不動産・都市開発案件への関与を通じて、同地域に於ける都市整備、住環境整備に貢献して行く方針である(17年7月21日のフィリピン証券取引所回覧04523-2017号などより)。