丸紅、フィリピンで集約的検体検査事業開始

ヘルスケア・メディカルの新事業基盤確立へ

2017/08/03

丸紅とLSIメディエンスはフィリピ最大手の民間病院グループであるメトロ・パシフィック・ホスピタル・ホールディングス(MPHHI)との3社の合弁会社となるメディ・リンクス・ラボラトリー(Medi Linx)を設立し、フィリピンで初めて日本の最新技術を用いた集約的検体検査サービス事業を開始することで合意した。

 フィリピンは過去5年間GDP成長率年6%以上を維持しており、アジアにおいて最も成長が期待できる国の一つとされている一方で、急激な人口増と高齢化の進行により医療需要の拡大が見込まれ、医療機関の整備と品質向上が喫緊の課題となっている。

 この事業は、マニラ首都圏の医療機関や研究機関(委託元)が外注する検体検査業務をメディ・リンクスが受託し、委託元から回収した検体を中央検査センターで集約的に検査し、検査結果を委託元へ提供するもので、本年8月より開始される予定である。

 日本で実施されている検体検査の種類は約4,000種類だが、フィリピンにおいては700~800種類にとどまっている。メディ・リンクスは、LSIメディエンスが日本の医療業界で長年培った高度で高品質な日本式検体検査サービスを導入し、展開することによってフィリピンの検体検査レベルを向上させ、フィリピンの医療サービス向上に貢献していく。また、将来的には、マニラ首都圏のみならずMPHHIが病院事業を展開する他の大都市にも同様のサービスを拡張していく。

 MPHHIは、大手財閥メトロ・パシフィック・インベストメントのグループ会社であり、フィリピン最大級の総合病院であるマカティ・メディカル・センターをはじめ13病院(計約2,900病床)と2医療大学、2クリニックを有している。本事業を通じて、フィリピンの病院の臨床検査基準の品質を向上させると共に、検体検査を集約することによる効率化を目指す。

 LSIメディエンスは、三菱ケミカル・ホールディングスの事業会社である生命科学インスティテュート傘下の企業で、検体検査、診断薬・診断機器の開発・製造・販売、創薬分野における非臨床試験や治験の検査・分析サービス等を展開している。また、日本で唯一のWADA公認のドーピング検査における検体分析機関としてアンチ・ドーピング活動の推進、スポーツの発展に貢献している。本事業を通じて、日本国内で蓄積した経験を活かしていくとともに、フィリピンでの検体検査に厳しい品質基準を実装させることにより、フィリピンにおける臨床検査分野の品質向上を目指す。


 丸紅は、本事業を通じて、フィリピンでヘルスケア・メディカル分野の新たな事業基盤を確立するとともに、アジア各国で本事業の横展開、並びに病院事業への投資を進めていく方針である(17年8月3日の丸紅株式会社プレスリリースより)。