キリン出資のサンミゲルビール、今上半期も二桁増収増益

純利益14%増の94億ペソ、売上高は12%増の531億ペソ

2017/08/07

 フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲルのビール子会社で、キリン・ホールディングス(キリン)が約48.39%を出資するサンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB、現在は非上場企業)の業績が好調に推移している。

 サンミゲルは自身の2017年上半期(1月~6月)の決算発表に先行して、8月4日、SMBの上半期決算動向を発表した。

 SMBの今上半期の売上高は前年同期比12%増の531億ペソに達した。そのうち、国内売上高は同13%増の470億ペソであった。増収効果にくわえコスト節減などにより、純利益は同14%増の94億ペソに達し二桁増収増益決算となった。前年同期は総選挙特需が加わり非常に好調であったが、今上半期はそれをも凌ぐ好決算となった。
 
 なお、サンミゲル・ビール(SMB)は、2008年にサンミゲルの国内ビール事業スピンオフで発足したが、2010年初にはサンミゲルの海外ビール事業も取得している。国内シェアは90%以上と圧倒的な強さを誇っている。起源は1890年に東南アジア初のビール醸造企業として設立されたサンミゲルであり、1914年には上海、香港、グアムなどにビール輸出を開始した。そして、1948年には香港初のビール工場を設立するに至った。すなわち、127年の歴史を有する老舗企業いえる。

 キリンは、サンミゲル本体(SMC)への出資というかたちでフィリピンに進出した。その当時はSMC社自身が国内ビール事業を行っていた。しかし、その後、国内ビール事業部門はSMBとして分社化、SMBは2008年5月12日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。したがって、キリンは2009年前半に、保有していたSMC株式6億2,867万6,675株(発行済株式総数の19.91%)を売却、SMB株式48.39%を取得したという経緯がある。

 SMBはその後、PSEの浮動株式比率基準(最低10%)未達成で、2013年5月15日にPSEから自主的上場廃止、上記のように、現在は非上場企業となっている(17年8月4日のフィリピン証券取引所回覧04861-2017号などより)。