日清のフィリピン即席麺事業好調、今上半期20%増益

2017/08/08

日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ・ファミーリーの有力食品企業ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)との合弁企業「ニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション」(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月に変更、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 このニッシンURCの業績が好調に推移している。URCの2017年第2四半期報告書などによると、ニッシンURCの2017年上半期(1月~6月)の売上高は前年同期比20%増の24億6,600万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は同22%増の4億5,600万ペソ、純利益は同20%増の2億8,200万ペソと二桁増収増益となった。

 今年から決算期がこれまでの9月から12月へと変更された。決算期変更前の2016年度(2015年10月~2016年9月)の売上高は前年度比18%増の42億0,900万ペソ、純利益は同52%増の4億6,300万ペソと二桁増収大幅増益であった。決算期は異なっているが、2017年も好調な推移となっている。フィリピンの高い経済成長率や好調な個人消費、即席麺、特にカップ麺の需要拡大にくわえ、日清グループのフィリピン事業強化策の奏功といえよう。


 ニッシンURCの上半期(1月~6月)決算動向(、単位:百万ペソ)
項目 16年度上半期 17年度上半期 前年度同期比
売上高 2,056 2,466 +20%
EBITDA 373 456 +22%
純利益 233 282 +21%
総資産 1,971 2,361 +20%
 (出所:URC2017年第2四半期報告書などから作成)

 東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額の拡大が見込める有望市場であり、日清グループも同地域での事業展開を加速させている。中でもフィリピンは、2013年には実質GDP成長率が7.2%を記録、その後も好調を維持、2016年も6.8成長となるなどASEAN屈指の高成長を続けている国である。

 世界ラーメン協会(World InstantNoodles Association 、略称:WINA、本部:大阪府吹田市) によると、フィリピンの2016 年の即席麺の総需要は前年比0.2%減の34 億1,000万食で世界第8 位、インドネシアとベトナムに次ぐASEAN 第3 位の市場となっている。そして、世界総需要約974億6千食のうちの3.5% を占めている。1人あたりの年間消費量は約34食に達している。今後も人口増加や経済力の向上にともない、需要は高水準で推移する見込みである。

 日清グループは、以前よりニッシンURCを通じて、フィリピン市場の開拓を行ってきた。特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。
上記の様に、フィリピン即席麺全体の需要は高水準ながらやや伸び悩みとなっている中で、ニッシンURCは二桁増収ペースを維持している。

 なお、フィリピンでの即席袋麺のトップ企業は、ラッキーミーブランドで知られるモンデ・ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ・ニッシンは現地資本企業であり、日清など日本企業との資本関係は全くない(17年8月7日発表のURC2017年第2四半期事業報告書などより)。