三菱自動車、フィリピンにR&Dセンター開設意向

2017/08/17

   三菱自動車は、フィリピンでは強固な事業基盤を構築し、販売台数は堅調な推移を辿り、現在、トヨタに次ぐ業界第2位の地位を確固たるものにしている。三菱自動車のフィリピンの生産・販売拠点はミツビシ・モーターズ・フィリピン・コーポレーション(MMPC)である。

 MMPCの2016年(1月~12月)の販売台数は前年比13.5%増の6万1,400台(三菱自動車ブランド5万9,480台+三菱ふそうブランド1920台)に達した。10年連続の増加であり、フィリピン自工会(CAMPI)など工業会加盟企業におけるシェア(工業会シェア)は16.5%で、トヨタモーター・フィリピン(TMP)の44.1%に次ぐ第2位の座を維持した。輸入車を含む総販売台数ベースでの市場シェアも15.2%で、トヨタの39.1%に次ぐ2位となっている。MMPCは2017年の販売台数目標を前年比22%増の7万5千台と設定、11年連続の販売増が期待される状況である。

 ルノー・日産アライアンス発表によると、三菱自動車にとってフィリピン市場は、米国(9万6,267台、2016年販売台数:以下同様)、日本(8万5,716台) 、中国(8万2,758台)、豪州(7万3,360台)、インドネシア(67,397)に次ぐ世界6位の規模であり、タイ(5万5,409)を上回っている。

 三菱自動車の2016年の主要10市場シェアは、米国0.5%、日本1.7%、中国0.3%、豪州6.2%、インドネシア6.3%、フィリピン15.2%、タイ7.2%、ドイツ1.1%、UAE9.2%、英国0.9%となっている。フィリピンは唯一の2桁シェアを有する市場であり、他の市場のシェアを大きく引き離している。三菱自動車にとって、フィリピンは非常に重要な市場となっている。

 三菱自動車のフィリピンでの市場シェアが、他市場に比べ非常に高いのは、フィリピンでの歴史が非常に長く地道に事業基盤を強化してきたこと、モンテロ・スポーツ、パジェロ、ASX、アドベンチャーなど現地ニーズの高い多目的車のラインアップが豊富であることなどが挙げられる。

 MMPCの起源は1963年2月、1964年5月にクライスラー・フィリピンとして生産を開始したことである。このように、フィリピンで53年以上の歴史を有している。1972年には双日が、フィリピンでの三菱自動車組立・販売事業に参加、それ以来、長年にわたり三菱自動車とともに車体の生産・販売・ブランド構築に努めてきた。この間、MMPCはフィリピン自動車メーカーとして初の累計生産50万台を達成(2009年12月)、高い販売シェアを維持しながら、フィリピン国の自動車産業とともに発展を続 けている。

 フィリピンは、非常に成長が著しく、特に自動車市場はここ数年急激な成長を遂げてきている。この成長を確実に取り込んでいくために、MMPCは従来のビジネスモデルに加えて、現地生産モデルの拡充、販売網の強化、販売強化のためのオートローンといった周辺事業への強化を進めている。 
 
 2016年には、フィリピン政府の自動車産業育成政策 「CARS」への参加申請について、フィリピン貿易産業省投資委員会(BOI)より承認(対象車種、『ミラージュ』および『ミラージュG4(アトラージュ)』)を受けた。これにより、MMPCは、約43億ペソ(約104億円)を投資し、既存の車両生産工場で新たに生産ラインを増設し、タイから輸入されてきている『ミラージュ』および『ミラージュG4(アトラージュ)』の現地生産を開始した。

 三菱自動車は、2017年8月10日からインドネシアで開催された第25回インドネシア国際オートショー1において、次世代クロスオーバーMPV『エクスパンダー』*世界初披露した。新型『エクスパンダー』は、インドネシアの新工場(西ジャワ州ブカシ県)で年間8万台生産する計画で、同国では今秋より販売する。また、アセアンを始めとする一部の地域には、2018年初春より出荷する計画である。

 三菱自動車の益子 修代表取締役CEOは、このインドネシアでの『エクスパンダー』披露時に、上記のような重要な拠点であるフィリピンにも研究開発(R&D)センターを開設する意向を表明したとのことである。