日本外務省予算概算要求でもフィリピン重視

ダバオ総領事館新設やテロ対応力向上など

2017/09/06

   日本外務省が8月末、2018年度予算概算要求の内訳を発表した。2018年度の要求額合計は7,675億円(うちODAが4,897億円)。2017年度当初予算(合計6,926億円)との比較では749億円の増額となっている。

 そのなかで、主要外交課題として、「日本に対する脅威を最小化・相対化するとともに、同盟国・友好国との協調・協力を最大化する」と掲げられている。(中国の)南シナ海での埋立て・軍事拠点化が進行するASEANにおいては、対応策として以下のようなことが掲げられている。

・ASEAN議長国たるフィリピンとの連携
・比中仲裁判断の尊重など法の支配の重要性の強調
・ASEAN諸国との安全保障・防衛協力の強化
・海洋安全保障に係る能力構築支援(MDA能力向上等)
・「質の高いインフラ」の推進,投資・貿易の活性化、人的交流・人材育成の強化

 2018年度予算要求に向けた主な柱は以下のとおり。
1.不透明さを増す国際情勢に対応し,戦略的な外交を展開する【3,633億円(+580億円)(うちODA 2,775億円)】
 北朝鮮の核・ミサイル,東・南シナ海における緊張、保護主義・内向き傾向の高まり等への対応。
2.テロ等の脅威から在外邦人や国内を守る【285億円(+48億円)(うちODA 163億円)】
 英国、フランス、フィリピン等、邦人が多数滞在する国におけるテロ事案も踏まえた対応能力向上
3.日本経済を力強く外交面で後押しする。【1,259億円(+150億円)(うちODA 1,117億円) 】
 日本企業の海外展開を支援、そのためのルール作り、成長市場の取込み等。
4.戦略的な対外発信を維持・強化する。【810億円(+297億円) (うちODA 528億円)】
  日本の魅力や重要政策課題に関する立場を国際社会に対して戦略的・効果的に発信。

 また、主要国並みを目指した外交実施体制の強化の一環として、ダバオ総領事館(フィリピン)など4つの在外公館の新設などが掲げられている。