豊田通商参画のミンダナオ発電所、GBPC50%出資へ

2017/09/27

   トーマス・アルカンタラ氏率いるアルソンズ・コンソリデイティド・リソース(ACR)は、主力事業の一つである発電事業の拡充を推進中である。ACRの主な事業基盤はミンダナオである。供給不足問題が深刻化しつつあるミンダナオの電力事情改善のため、ACRはミンダナオでの発電所建設に注力しつつある。ACRのミンダナオでの発電事業の有力パートナーは豊田通商である。
                                   
 ACRは能力増強とともに、環境問題にも対応していく必要がある。そのために、循環流動層ボイラー(Circulation Fludized Bed Boiler=CFB)石炭火力発電所を活用する。CFBは炉の底部から燃焼空気をふき込むことで、高速で流動化した高温の燃料粒子を均一に混合し、効率よく燃焼させる省エネ型システムである。ACRはこのようなCFB発電所への転換・建設により、環境汚染軽減や発電能力・効率性の向上、低コスト化を目指す。

 このような、ACRの環境にも配慮した発電能力大幅増強計画が進展しつつある。具体的にはまず、子会社サランガニ電力を通じて、ミンダナオ島サランガニ州マーシムに合計210MWのCFB石炭火力発電所を建設中である。2012年12月にはこのサランガニ電力への豊田通商25%出資合意書署名が行われた。その結果、サランガニ電力は現在、豊田通商によって25%、 ACR子会社に75%所有されている。豊田通商はサランガニ電力に25%資本参加することで、ミンダナオでの環境保全型発電事業に参画している。

 このサランガニ発電所プロジェクトもフェーズ1である第1プラント(105MW)が完工、1月26日に稼働セレモニーが行われた。同時にフェーズ2の第2発電所(105MW)の建設着工式も開催された。

 このサランガニ発電所を保有するACR子会社アルソンズ・サーマル・エナジー社(ATEC) の株式50%を、メトロ・パシフィック・インベストメント(MPIC)傘下の発電企業グローバル・ビジネスパワー(GBPC)が取得することになった。そして、フィリピン競争委員会(PCC)がこのほど、GBPCのATECへの50%出資を承認した。

 なお。GBPCは、セブ島やパナイ島が位置するビサヤ地方をメイン基盤とする発電企業である。石炭火力発電を中心にIPP(独立系発電事業者)として、主にビサヤ地域のベース電源を担い、安定した収益基盤を築きつつある。現在852MWの発電能力を有するほか、670MWの発電基盤を構築中である(17年9月26日のフィリピン証券取引所回覧05806-2017号などより)。