比ミニストップとファミリーマート、9月も店舗数減少

セブンの独走続く、小売り規制追加緩和に注目

2017/10/13

    フィリピンのコンビニエンス・ストア業界もマニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。現在は、業界断トツのセブン・イレブンをミニストップなどが追いかけようとする構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、 2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。 2015年央ごろまでは、各チェーンとも店舗網を順調に拡大させてきたが、2016年は、店舗数を減らすチェーンも見られた。特に、ファミリーマートの急ピッチの店舗減少ぶりが目立つ。

 フィリピンファミリーマート1号店は、2013年4月にマニラ首都圏マカティ市にオープンした。店舗網は2015年前半までは順調に増加、2015年5月に100店の大台、2015年末には120店に到達した。ただし、業界の競争激化や出店政策の見直しなどにより、2015年後半以降は出店ピッチが急鈍化、2016年から減少傾向となっている。2017年9月末の店舗数は68店(日本側発表数字、以下同様))で、前年同月末の101店から33店減少、ピークの2015年末の120店からは52店、率にして43%減少している。

 また、比ミニストップも店舗数も、ファミリーマートほどのピッチ程ではないが減少傾向となっている。2017年9月末の店舗数は489店で、8月末の491店から更に2店減少、490店を割り込んでしまった。前年同月末の501店からは12店の減少、ピーク時の2016年1月末の521店からは32店、率にして6%の減少となっている。
 

フィリピンのミニストップ店舗数推移(月末値)
2016年 2017年
時期 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
店舗 521 518 518 516 516 513 513 508 501 501 500 499 493 492 493 492 493 491 490 491 489
(出所:株式会社ミニストップ資料より作成)

 
一方、業界首位の比セブンイレブンの店舗数は増加傾向を辿っており、2017年6月末で2,087店となり、前年同月末の1,740店から347店、率にして20%増加している。2017年6カ月間では92店の純増となっており、トップの座を強固にしているといえよう。7月以降の店舗数は正式には発表されていないが、独走といえる状況である。

フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストアの傘下)
年・月 13年末 14年末 15年末 16年3月末 6月末 9月末 12月末 17年3月末 6月末 9 月末
セブンイレブン 1,009 1,282 1,602 1,655 1,740 1,840 1,995 2,031 2,087 N.A.
ミニストップ 386 454 519 518 513 501 499 493 491 489
ファミリーマート 31 87 120 104 102 101 99 81 72 68
ローソン 0 0 16 17 19 24 29 30 32 33
(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはサイト等からの推計値) 

 なお、フィリピンでは、2000年3月25日に共和国法8762号(通称:小売自由化法}が発効、条件付きで外資による小売市場参入が可能となった。参入条件は、(1)払込資本金が250万米ドル相当以上(ハイエンドや高級品に特化した業態では最低資本金が25万米ドル以上)、(2)一店当たり投資額が83万米ドル相当以上であることなどである。通常の大型小売店ならば、(2)一店当たり投資額が83万米ドル相当以上は問題ないが、小規模店舗を多数展開するコンビニエンスストアにおいては、この条件クリアーはかなり高いハードルとなってきているようである。

 法律解釈は難しいが、1店当たり投資額規定に関しては例外的に免除されるような運用規定もある。この例外規定による有利・不利が生じている感もある。今年12月に外資規制緩和策が発表されそうであり、小売業界に関する追加規制緩和も盛り込まれそうと報じられている。現時点では、資本金総額の緩和(減額)予想のみが報じられているが、一店当たりの投資規定がどうなるか注目されるところである。