アヤラ系電子企業IMI、9カ月間で16%増益

電動車や自動走行車時代への対応進展

2017/11/06

     アヤラグループのエレクトロニクス企業インテグレイティド・マイクロエレクトロニクス(IMI)が、11月3日、2017年9カ月間(1月~9月)の決算速報を発表した。

 それによると、IMIの今9カ月間の収入は前年同期比29%増の7億9,620万米ドルに達した。中国の5G事業の遅れなどで中国事業の収入が同1%僧の1億9,820万米ドルと伸び悩んだ。しかし、フィリピンEMS事業が同4%増の1億9,720万米ドルと堅調、新収益源の欧州・メキシコ事業が同15%増の2億6,340万米ドルと好調で、中国事業の伸び悩みを完全にカバーした。これらの結果、純利益は同16%増の2,410万米ドルに達した。
 
 なお、フィリピンの自動車販売台数大幅増加、政府による自動車産業育成策発動などを背景に、当地を代表するコングロマリットであるアヤラグループが自動車事業を拡充しつつある。今後は、特に電動車(EV)や自動走行車分野に注力していく方針である。その動きのなかで中心的役割を担っていくがIMIと見られる。

 フィリピンの自動車販売台数大幅増加、政府による自動車産業育成策発動などを背景に、当地を代表するコングロマリットであるアヤラグループが自動車事業を拡充しつつある。今後は、特に電動車(EV)や自動走行車分野に注力していく方針である。その中心的役割を担っていくのがIMIと見られている。
 
 IMIは、総合電子機器受託製造サービス(EMS)プロバイダーで、自動車関連部品では、先端的ドライバー補助システム(ADMS)、安全コントロール装置、電子点火モジュール、ハイブリッドカーやEV用次世代インバーター・パワーモジュール、バッテリー管理システム、車載用カメラ等の先端オート部品・装置の開発・生産に注力してきている。すなわち、既にEV・自動走行車事業の素地を十分有しているといえよう。
 
 先端オート部品注力の結果、世界的な自動車部品EMS企業ともなっている。世界最大級の自動車部品企業であるロバート・ボッシュ(ボッシュ)から、6年連続でEMS部門におけるPreferred Supplier(最重要取引企業)として認定されている。また、カリフォルニア州拠点の先端ビジネス情報調査・提供会社「ニューベンチャーリサーチ社」による自動車部品EMS売上高ランキングにおいて、IMIは世界ベスト10入り常連企業となっており2016年は世界6位にランクされている。すなわち、電子系自動車部品企業としても国際的有力企業となりつつある。昨年9月には、ドイツのVIAオプトロニクス(VIA)買収を完了した。VIAは、オプティカルボンディングやディスプレイ・ソリューション分野における有力企業であり、IMIの先端オート部品事業基盤の拡充に寄与すると期待される。

 また、IMIは今年4月7日開催の株主総会において、定款の主たる事業目的の変更を決議した。具体的には、これまではエレクトロニクス製造・組立とされていたが、自動車、バイク、ソーラーパネルを含む全ての非エレクトロニクス製品・部品・素材の製造・組立が加えられた。自動車等そのものの製造が謳われており、名実ともにEV・自動走行車事業参入体制が整備されつつあるとも言えよう。
 
 フィリピンでの代表的なEV関連銘柄として注目されていること、足許の業績も好調(2017年9カ月間で16%増益)なこと、上記のような定款変更が行われたことなどから、2017年初からIMIの株価が大幅上昇している。11月3日のフィリピン証券取引所(PSE)での終値は18.80ペソで、2016年末の終値6.08ペソから209%(約3.1倍)急騰、PSE株価指数や工業株指数を大幅に上回るパフォーマンスとなっている。親会社のアヤラコープの株価も、年初来上昇率が45.2%と好調に推移している。

   
フィリピンの各種株価指数とアヤラコープやIMI株価の動き

時期など

PSE株価指数

全株指数

工業株指数

アヤラコープ

IMI

16年12月末

6,840.64

4,156.70

10,650.20

730.50ペソ

6.08ペソ

17年11月3日

8,376.15

4,898.90

10,826.34

1,061.00ペソ

18.80ペソ

上昇率

22.5%

17.9%

1.7%

45.2%

209%

  (出所:PSE取引記録から作成)