比トヨタ自動車、9カ月間の純利益99億ペソに

ペソ安等で6%減も高水準、売上14%増の1,307億ペソ

2017/11/17

比大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。
 
 GTCAPは、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMP、所在地:ラグナ州サンタロサ市)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ・マニラベイ社(TMBC)のマジョリティーを保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ・ファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて好調に推移している。その中心であるTMPの2017年9カ月間(1月~9月)の動向は以下のとおり。

 GTCAPの事業報告書などによると、TMPの今9カ月間の卸売ベースの販売台数は前年同期比10.9%増の13万3,261台、小売ベースの販売台数は同16%増の13万2,721台と高水準。9月の総合市場シェア(全輸入車を含む総販売台数ベース)は39.4%と断トツ、前年同月の39%からさらに上昇した。したがって売上高は前年同期比13.6%増の1,307億ペソへと二桁増加した。ただ、ペソ安などにともなうコスト増や低採算車種の比率増加、販管増加などで、粗利益は同4.4%減の165億ペソ、営業利益は同9.3%減の125億ペソ、帰属純利益は同5.7%減の99億1,390万ペソへと減少した。もっとも、利益額自体は依然高水準である。

 下表の様に、年間帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で大幅増加した。そして、15年には同41%増の102億ペソへと増加、100億ペソの大台を突破、16年は119億ペソへ一段と拡大という経緯を辿ってきている。今年も3年連続での100億ペソ突破が期待される状況である。


トヨタモーター・フィリピン(TMP)の業績等の推移(単位:百万ペソ、17年分は9カ月間速報値)
2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 17年9ケ月間 伸び率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,289.4 155,832.5 130,706.3 13.6%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,298.5 21,072.3 16,470.3 -4.4%
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.3 13,909.9 15,669.0 12,453.3 -9.3%
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,208.8 10,194.6 11,929.0 9,913.9 -5.7%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,681.4 32,278.3 36,003.4 41,844.8 16.2%
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,923.3 15,228.4 17,492.3 15,910.9 -9.0%
 (出所:GTキャピタル事業報告書などより作成、収益伸び率は前年同期比、総資産や株主資本は16年年末値との比較)

 なお、TMPは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立され、1989年から生産/販売を開始した。出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。2016年末の従業員数は約2,600名に達している。
  
 現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。