JICA、ASEANの高度な工学系人材育成に貢献

比メンバー校:デラサール、UPディリマン、イリガン工科

2017/12/05

   国際協力機構(JICA)は、12月1日、バンコクにて、ASEAN加盟10カ国の政府及び関係大学との間で、技術協力プロジェクト「アセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクトフェーズ4」(実施予定期間:2018年3月~2023年3月)に関する協力枠組み文書( C/F)に署名した。今後、各国政府との間で個別に討議議事録(R/D)を署名予定である

 本事業は、ASEANの工学系のトップ大学において、日本の大学や日ASEANの産業界との連携を通し、その教育・研究機能を強化することにより、ASEANの発展を支える高度な工学系人材の育成を目指すものである。

 2015年にはASEAN経済共同体が発足し、「世界の成長センター」とされるASEANであるが、近年その成長はやや鈍化しており、持続的な経済成長の実現には、産業の高付加価値化が課題となっている。また、大気汚染や次世代代替エネルギーの開発等、地域が共通に抱える地球規模課題への対応も迫られる中、技術革新やイノベーションを担いうる高度な工学系の人材が不可欠となっており、各国における大学の役割はますます重要になっている。

 2001年に開始したアセアン工学系高等教育ネットワークプロジェクト(通称「SEED-Net」)では、日本の14大学の協力の下、ASEAN 10カ国の工学系トップ26大学(以下「メンバー大学」)を対象に、教員の修士・博士号取得を通じた教育能力強化、国際共同研究を通じた研究能力強化、学術会議の開催や国際学術誌(ASEAN Engineering Journal)の発行を通じた学術ネットワークの構築を支援してきた。

 その第4フェーズとなる本事業では、現在ASEANが置かれた状況を踏まえ、メンバー大学がより先端的で社会の課題解決につながる教育・研究活動を展開できるよう、新たな取り組みを開始する。具体的には、メンバー大学と日本の大学が互いの強みを出し合い人材育成を行う国際共同教育プログラムの新設を支援するほか、インターンシップや共同研究等による、メンバー大学と日ASEANの産業界との連携強化を支援する。

 なお、フィリピンのメンバー大学は、デラサール大学、フィリピン大学(UP)ディリマン校、ミンダナオ州立大学(MSU)イリガン工科大学の3校である。 日本の支援大学は、北海道大学、京都大学、名古屋大学、大阪大学、東京大学、東海大学、豊橋技術科学大学、慶応義塾大学、九州大学、政策研究大学院大学、芝浦工業大学、東北大学、東京工業大学、早稲田大学の14校である。

 JICAは、これまでに培った日ASEAN間の学術ネットワークと信頼関係を基盤に、ASEANの発展を支える高度な工学系人材の育成に引き続き貢献していく方針である(17年12月4日の国際協力機構ニュースリリースより)。