日立のASEAN事業規模、21年度に7千億円へ
IoT技術活用等で現在の5千億円から40%増目指す
2017/12/14
日立製作所(日立)は、12月13日、ASEAN地域の統括会社を置くシンガポールにおいて、取締役会を開催した。
海外での取締役会の開催は5回目で、ASEAN地域では初めてである。日立は、「2018中期経営計画」において、社会イノベーション事業を軸に「IoT時代のイノベーションパートナー」となることをめざし、グローバルで事業拡大に取り組んでいる。今回の取締役会では、今後の世界経済のけん引役を期待されているASEAN地域において、いかにその成長の活力を取り込み、2018年以降のさらなるグローバルでの成長に向け、ASEAN地域における成長戦略を議論した。
ASEAN地域は、環太平洋経済協力連携(TPP)や、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)など、市場の一体化による域内経済の活性化への動きが加速しているほか、日本政府によるインフラ輸出戦略や中国による「一帯一路」など、成長への期待が高まり続けている。また、シンガポールやマレーシアは、先進的なテクノロジーをいち早く導入し、産業の高度化を一気に進めるために、レギュラトリー・サンドボックスの採用を発表するなど、ASEANは、6億人を超える人口を持つ大規模な市場とフィンテックに代表される最先端の知恵が同居する、可能性にあふれた地域である。
日立にとって、ASEANはグローバル戦略において重要な地域の一つであり、1963年にシンガポール事務所を設立して以来、54年にわたりさまざまな事業を営んでおり、現在では約5,000億円の事業規模へと成長している。近年では、2016年に、タイ・バンコクレッドラインプロジェクトや、シンガポール国立がんセンター向けの陽子線がん治療装置といった大規模プロジェクトを受注しているほか、電力網の安定化に貢献するガス開閉器などの電力流通システムや都市化を支える昇降機、セキュリティシステムなど、スマートで安心・安全・快適な社会を実現するさまざまな社会イノベーション事業を展開している。さらに、ベトナムにおいて非現金決済サービスを提供しているほか、タイの東部経済回廊(EEC)プロジェクトに貢献するIoTエンジニアリングセンタの設立に向けてEEC政策委員会との協力に合意するなど「協創」によるアプローチも強化している。
今回の取締役会では、こうした市場背景やこれまでの実績および日立のIoT技術を活用し、街づくりに貢献する「都市インフラ事業」、行政の効率化・透明化を通じて社会の安定に寄与する「デジタルインフラ事業」、国をまたいで効率化を図るASEAN地域ならではのサプライチェーン高度化を実現する「製造・物流効率化事業」、顧客基盤拡大をめざすB to C企業と高品質サービスを求める中間層をつなぐことで市民生活のQoL向上をもたらす「サービスプラットフォーム事業」の4つを中核事業とするASEAN地域戦略について議論した。これらの中核事業への注力を通じ、現在約5,000億円のASEAN地域の事業規模を2021年度までに7,000億円規模に拡大することをめざす(14年12月13日の株式会社日立製作所ニュースリリースより)。
海外での取締役会の開催は5回目で、
ASEAN地域は、環太平洋経済協力連携(TPP)や、
日立にとって、
今回の取締役会では、