日本人留学先、フィリピンが第5位に上昇

1位米国、2位豪州、3位カナダ、4位英国

2017/12/29

    留学事業の健全な発展と国内の留学啓蒙を目的として、民間の留学事業者等 66機関で構成される一般社団法人海外留学協議会(JAOS、設立1991年)は、2017年 月にJAOS会員である留学事業者40社を対象に日本人の留学生数の調査、『一般社団法人海外留学協議会(JAOS)による日本人留学生数調査2017』を実施し、このほどその結果を発表した。

 それによると、、2016年1年間のJAOS加盟の留学事業者40社の年間留学生数は約8万人(7万9,123人)であることが明らかになり、他調査と合算すると日本人の留学生数は20万人超と推測できることが明らかになった。なおこの調査では、JAOS加盟の留学事業者40社の2016年の留学生数を第三者機関に委託し調査を実施した。JAOS非加盟の留学事業者の数値は含まれていない。調査結果の概要は以下のとおり。

 【2016年の留学トレンド】
1)欧米圏のシェアは大きいが、アジアのシェアが17%強

 北米、ヨーロッパ、オセアニアの留学国が全体シェアの80%強を占め、引き続き留学地として不動の人気を誇る。一方で、フィリピンやシンガポール、中国、韓国、台湾などのアジアのシェアが17%強もあり、アジアで学ぶ日本人も一定数いることが伺える。

2)その中でもフィリピンの躍進が大きくニュージーランドを抜いて5位に
 単体では近年留学先として人気を博しているフィリピンがニュージーランドを抜いて、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリスに次ぐ5番目の留学渡航先となる。

 ちなみに、2016年のフィリピンへの留学者数は6,238人(JAOS加盟の留学事業者のみの集計値、以下同様)。そのうち、3カ月未満の短期語学留学が5,254人で全体の84%を占めた。1位の米国への留学者数は1万9,042人で、3カ月未満の短期語学留学は8,862人であった。

3)中学・高校生のシェアが全体の19.2%を占める
 2020年の大学入試改革の中で、英語教育は劇的変化の中にあり、中学・高校の英語教育も見直しが進んでいる。特に「なぜ語学を学ぶ必要があるのか?」という動機づけを海外留学の中で培える部分と、日本国内では難しいスピーキングのレッスンを実践的に積むことができる部分が評価されていると伺える。


【今後の留学トレンド】
1)2020年の大学入試改革を見据えた留学生の若年化

 2016年のトレンドから引き続きとはなるが、2020年の英語入試改革に向けて留学生の若年化が進む。具体的には親子留学、中高生の留学は躍進していくと推測できる。また、小学生の英語教育も変化の中にあるため、今後は小学生の留学も増えていくと思われる。

2)海外大学進学者の増加
 2020年の英語入試改革の中で、英検、TOEFL、IELTSなどの外部試験も利用される可能性は高い。高校生のグローバルに通じる英語力が向上し、そのまま海外出願も可能なスコアを持つ学生も増加していく。2020年前後において、日本国内の大学のみではなく、海外の大学進学を志す高校生が増加していくことと推測できる。

3)日本企業のグローバル化、観光インバウンド需要による社会人留学の増加
 年々進む日本企業のグローバル化に伴い、ビジネスにおいて実践で使える英語コミュニケーションは強く求められており、企業の研修などで海外留学へ渡航する社会人も増えている。また、20代および30代のキャリア志向の社会人を中心に有給休暇を使用した1-2週間の短期留学も増えているが、転職タイミングに今後のキャリアやライフスタイルを考えて留学を選択する社会人も増えている。海外志向が元々無かった層も、観光インバウンド需要により日本国内に外国人が増え、観光業・サービス業を中心に語学留学のニーズは一層伸びていくであろう(17年12月19日の一般社団法人海外留学協議会ニュースリリースより)。