アヤラ教育事業に拍車、最古の教育大学買収へ

2018/02/09

    アヤラコープは、教育関連投資会社である「AC エドケーション(AE)」などを通じて、教育事業を積極的に拡充・強化を推進中である。

 その一環として、このほど、ナショナル・ティーチャーズ・カレッジ(NTC)の株式96%を取得することを決定した。NTCは、マニラ首都圏マニラ市キアポに立地するフィリピン最古かつ有名な教員大学であり、1928年に設立された。

 アヤラコープは、2014年にAEを通じて、国際的な教育出版関連企業である英国ピアソンと合弁企業を設立、貧困層向けの格安学校「APECスクールズ」のチェーン展開を開始した。「APECスクールズ」は、義務教育すら満足に受けられない貧困層にも十分な教育機会を提供することと、都市部の公立学校における1クラスの肥大化(都市部では1クラス80人超の例も)に対応することを目的に、授業料が通常の私立学校の4分の1以下という格安学校を多数展開することを目的としている。「APECスクールズ」は現在、23都市に展開されており、生徒数は1万6,000人に達している。

 このほか、AEは、2015年7月、ヌエバ・カセレス大学(UNC)の株式60%を4億5,700万ペソで取得した。ルソン島南部の南カマリネス州ナガ市に立地するUNCは、学生数約8,000名、ビコール地方最大の大学で67年の歴史を有している。この「UNC」、「APECスクールズ」、買収予定の「NTC」の合計学生数は3万4,000名に達する。

 さらにAEは、今年年初にユーチェンコ財閥で教育事業を担当するiPeople(アイピープル、フィリピン証券取引所{PSE}上場)と、合併に向けての精査や合併条件決定のためのタームシート(条件概要書)を締結した。合併条件は2018年第1四半期中に決定される見込み。

 アイピープルは、マニラ首都圏において 著名な「マプア工科大学」(Mapua Institute of Technology、マプア)を運営している。「マプア工科大学」フィリピン有数の私立工科大学で、付属の高校、大学院、海員学校、看護師学校を含めると約2万2千人の学生が学んでいる。授業の大部分は英語でおこなわれ、学生はハイレベルな英語能力を有している。なかでも、情報通信、電気・電子工学、機械工学、建築・土木、化学・素材分野の専門教育には定評がある。アイピープルは、20億ペソを投じて、ダバオに新しいマプア「マラヤン・カレッジズ・ミンダナオ」を創設しつつある。開校は2018年を予定している。

 このように、アヤラグループの教育関連事業基盤は急ピッチで拡充されつつある(18年2月8日のフィリピン証券取引所回覧00742-2018号より)。