比パナソニック、9カ月純利益59%減の1.4億ペソ

売上高5%増の80億ペソ、ペソ安等で業績向上一服

2018/02/22

    パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、2月21日、2017年度(2017年4月~2018年3月)9カ月間(2017年4月~12月)の事業報告書を公表した。

 近年急上昇を続けてきたPMPCの業績については、今9カ月間は、非常に好調であった前年同期との比較では減益となり、業績上昇トレンドは一服となった。ただし、中期的な上昇トレンドは崩れていないとの見方が多いようだ。

 今9カ月間の売上高は前年同期比4.5%増の80億1,469万ペソと一桁増加にとどまった。もっとも、前年度同期は前半のエルニーニョ現象に伴う少雨高温という気候が追い風となりエアコンの売上高が絶好調であり、全体として20%増収であった。それとの比較でやや伸び悩みという結果となったが、依然増収であり、堅調な売上が続いているともいえよう。

 増収率が鈍化する一方、原材料費値上がりやペソ安による輸入コスト増加などにより、製造コストは同12%増の62億2,052万ペソに達したことで、粗利益は同15.1%減の17億9,741万ペソにとどまった。販売費を同15.5%削減したが、一般管理費は同15.1%増加した。これらにより、純利益は同59%減の1億3,645万ペソにとどまり、同62%増益と絶好調であった前年同期との比較では大幅減益という結果となった。

 PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けてきた。2016年度の純利益は2011年度に比べ9.2倍へと急拡大している。PMPCは先頃、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明している。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく方針である。


パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ、16年度までは年間、17年度は9カ月間)
項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度9カ月間 伸び率
売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 997,478 801,469 4.5%
粗利益 142,356 168,913 173,238 142,566 180,352 246,739 179,471 -15.1%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 66,721 18,755 -55.6%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 13,138 5,110 -43.3%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,258 25,098 53,584 13,645 -59.0%
 (出所:PMPC事業報告書から作成)

 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年を迎え、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎える。
 
 PMPCの前身は1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2017年末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。