2月のインフレ率、3.9%(新基準)へ上昇

3年半ぶりの高水準、旧基準では4.5%に

2018/03/07

    フィリピン統計庁(PSA)はインフレ測定基準年を2006年から2012年に変更した。発表によると、2018年2月の総合インフレ率(総合消費者物価指数{CPI、2012年=100}の前年同月比上昇率)は3.9%(速報値)で、前月から0.5%ポイント上昇、2014年9月の3.9%以来、約3年半ぶりの高水準となった。ただ、基準年度変更で政府のインフレ目標圏内に収まるかたちとなった。年初から2カ月間の平均インフレ率は3.7%である。

 インフレ率算出の基準年がこれまでの2006年から2012年へと変更された。ちなみに、これまでの2006年基準(旧基準)によると、2月のインフレ率は4.5%(1月は4.0%)となる。また、2017年の年間平均インフレ率は旧基準では3.2%であったが、新基準(2012年基準)では2.9%となる。

 2月(以後の数値は新基準)に関しては、大きな構成比を占める食品・非アルコール飲料やアルコール飲料・タバコの物価が上昇したのが影響した。食品では、とうもろこし、肉類、果物、乳製品等の物価上昇が目立った。特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率に関しては、現在、定義の見直しが行われている。

 11品目のうち上昇率が前月を上回ったのは、アルコール飲料・たばこ(16.9%)、食品・非アルコール飲料(4.8%)、外食・雑貨・雑サービス(2.5%)、交通・輸送(5.8%)、衣料・靴類(2.0%)、家庭備品・設備(2.5%)等計6品目。一方、前月から鈍化したのは、住宅・水道光熱費(2.6%)、通信(0.2%)、娯楽・文化(1.4%)の3品目。前月から横ばいは、2品目(保健・衛生、教育)。

 総合インフレ率を地域別で見ると、首都圏は4.7%で前月から横ばい、地方は3.7%で、前月から0.6%ポイント上昇した。インフレ率が最も高かった地方はミンダナオ・イスラム教徒自治区(6.0%)、次いで、サンボアンガ半島(4.9%)、ソックサルジェン地方(4.9%)。最もインフレ率が低かった地方は、中央ルソン地方(2.2%)。


 CPI上昇率(インフレ率:2012年基準、前年同月比%)

項目 18年2月 18年1月 17年2月 18年1-2月
全国    総合インフレ率 3.9 3.4 3.1 3.7
首都圏   総合インフレ率 4.7 4.7 3.4 4.7
地方    総合インフレ率 3.7 3.1 3.0 3.4
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)



 インフレ率目標と実績の推移

13年 14年 15年 16年 17年 18~20年
インフレ目標  3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0% 2.0~4.0% 2.0~4.0% 2.0~4.0%
インフレ実績(06年基準) 3.0%  4.1% 1.4% 1.8% 3.2% -
インフレ実績(12年基準) 2.6% 3.6% 0.7% 1.3% 2.9% -
 (出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


 総合CPI上昇率(2012年基準、前年同月比%)

項目 17年 18年
2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
総合 3.1 3.1 3.2 2.9 2.5 2.4 2.7 3.1 3.1 3.0 2.9 3.4 3.9
食料品・非アルコール飲料 3.0 2.9 3.4 3.1 3.0 2.8 2.9 3.3 3.2 3.0 3.5 4.4 4.8
酒類・煙草 7.2 7.5 7.4 7.3 7.0 6.7 6.8 6.8 7.2 6.2 6.3 12.2 16.9
衣料・靴類 2.8 2.9 2.8 2.7 2.5 2.4 2.4 2.1 2.1 2.0 1.8 1.9 2.0
住宅・水道光熱費 3.0 3.7 3.4 3.4 1.8 1.3 1.5 3.2 3.5 3.3 2.9 2.8 2.6
家庭備品・設備 2.2 2.6 2.6 2.4 2.3 2.4 2.1 2.1 1.9 2.0 2.1 2.2 2.5
保健・衛生 3.1 3.3 3.1 2.8 2.7 2.6 2.5 2.4 2.3 1.8 1.6 2.1 2.1
交通・輸送 5.8 5.7 5.7 4.4 3.6 4.0 5.7 6.0 5.6 5.8 3.9 4.5 5.8
通信 0.4 0.5 0.4 0.2 0.2 0.2 0.3 0.2 0.2 0.3 0.3 0.3 0.2
娯楽・文化 1.0 1.0 0.9 0.9 1.0 1.6 1.6 1.4 1.4 1.2 1.3 1.5 1.4
教育 3.1 3.1 3.1 3.1 2.5 2.6 2.6 2.5 2.6 2.3 2.3 2.3 2.3
外食・雑貨・サービス 2.0 1.5 1.3 1.4 1.5 1.7 1.7 1.9 1.8 1.9 1.9 2.2 2.5
首都圏 3.4 3.9 4.0 3.8 3.1 2.9 3.3 4.6 4.3 4.5 4.3 4.7 4.7
 地方 3.0 2.9 2.9 2.7 2.3 2.2 2.5 2.7 2.8 2.5 2.6 3.1 3.7
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


食料品物価上昇率(2012年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
18/1月 4.6 1.5 7.6 5.1 3.3 6.5 12.3 2.2 4.3 1.8 -1.9 0.7
2月 4.8 2.8 10.4 6.3 2.8 6.7 11.3 2.3 4.0 3.0 -1.6 2.0
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2月の総合インフレ率(2006年=100)3.9%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.8%(うち食料品1.7%)、住宅・水道光熱費0.6%、交通・輸送費0.5%、外食・サービス他0.3%、教育0.1%、酒類・煙草0.3%、衣料・靴類0.1%など(18年3月6日のフィリピン統計庁・中央銀行発表より)。


2018年2月のインフレ率(2012年=100)と寄与度(単位:%)

項目 物価指数 2月
構成比 インフレ率 寄与度
総合 100.00 3.9 3.9
食料品・非アルコール飲料 38.34 4.8 1.8
   うち食料品のみ 35.46 4.8 1.7
酒類・煙草 1.58 16.9 0.3
衣料・靴類 2.93 2.0 0.1
住宅・水道光熱費 22.04 2.6 0.6
家庭用品・営繕 2.95 2.5 0.1
健康・医療 3.89 2.1 0.1
交通・輸送 8.06 5.8 0.5
通信 2.93 0.2 0.0
娯楽・文化 1.41 1.4 0.0
教育 3.28 2.3 0.1
外食・サービス他 12.59 2.5 0.3
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)