90周年のPLDT、17年は3%減収で33%減益と低調

帰属純利益134億ペソ、経常的コア利益は11%増

2018/03/09

    通信業界首位(収入)のフィリピン長距離電話(PLDT)が、3月8日、2017(1月~12月)の決算を発表した。

 それによると、2017年の営業収入は前年比3%減の1,599億ペソ、そのうちサービス収入は同4%減の1,512億ペソと小幅減少した。一方、費用は同7%増の1,504億ペソへと増加した。これらの結果、報告帰属純利益は同33%減の134億ペソへと大幅減少した、しかし、一時的支出、デリィバティブ損益、資産評価損益など一時的損益などを調整した経常的コア純利益は同11%増の223億ペソであった。すなわち、実質11%増益決算であったと言えなくもないが、数年来の業績伸び悩みが依然続いているといえよう。

 フィリピンの携帯電話普及率が100%を超える(重複加入などを考慮しない単純計算)一方、競争激化、先行投資負担など事業環境は厳しくなってきている。PLDTの業績も2011年から2016年まで調整局面が続いてきているが、2017年も伸び悩みとなった。

 競争激化のなか、PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきている。特に、ホームサービス事業やエンタープライズサービス事業の基盤強化を推進している。2017年の設備投資額は400億ペソと高水準であったが、2018年は45%増の580億ペソに拡大する予定である。

 PLDTは、中期的には高付加価値化やホーム・エンターサービス事業基盤強化の効果が一層顕在化してきそうなこともあって、業績が再上昇基調となる可能性が高いとの自信を表明している。創業90周年を迎える2018年は再飛躍へのスタートになると期待される。2018年のサービス収入目標は4%増、経常的コア利益目標は3~8%増の230~240億ペソと設定されている(18年3月8日のフィリ ピン証券取引所回覧01512-2018号などより)。 


 なお、当地第2位の通信企業グローブ・テレコム(グローブ)は、2月6日、2017年(1月~12月)の決算速報を発表している。 それによると、2017年のサービス収入は前年比6%増の1,279億ペソながら、報告純利益は同5%減の151億ペソへと減少した。そして、一時的損益や外為変動損益などを除いたコア純利益は同15%減の135億ペソ、すなわち、実質15%減益決算であった。2017年の設備投資額は425億ペソであった。