1月のOFW送金、11%増の26億5千万ドル

ペソ安効果等で10カ月ぶりの高い伸びに

2018/03/16

 フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2018年1月のOFWからの銀行経由による本国現金送金額は23億7,900万米ドルで、前年同月(21億6,900万米ドル)から9.7%増加した。前年同月比9.7%増というのは、2017年3月の10.7%増以来、10カ月ぶりの高い伸び率である。ペソ安が送金増加に拍車をかけたようである。

 そのうち、陸上ベースのOFWからの送金額は前年同月比8.4%増の19億0,600万米ドル、海上ベースのOFWからは15.3%増の4億7,300万米ドルであった。 なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同月比14.3%増の7億9,800万米ドル(シェア33.5%)、2位アラブ首長国連邦(UAE)の14.4%増の1億9,000万米ドル(8.0%)、3位サウジアラビアの12.0%減の1億7,800万米ドル(7.5%)、4位シンガポールの22.0%増の1億7,500万米ドル(7.4%)、5位英国の0.9%増の1億2,000万米ドル(5.1%)、6位日本の6.0%増の1億1,900万米ドル(5.0%)、7位カタールの14.9%増の1億1,400万米ドル(4.8%)、8位カナダの86.5%増の9,400万米ドル(3.9%)、9位クウェートの18.7%増の7,200万米ドル(3.0%)、10位ドイツの30.3%増の6,400万米ドル(2.7%)など。


OFWからの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%

項目 年間推移
11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
送金額 20,117 21,391 22,984 24,628 25,607 26,900 28,060
対前年伸率 7.2 6.3 7.4 7.2 4.0 5.0 4.3
日本から 914 1,010 904 1,419 1,223 1,363 1,469
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、注:17年、18年は速報値) 


月別OFWからの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%)

17年 18年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
送金額 2,169 2,169 2,615 2,083 2,310 2,467 2,283 2,499 2,186 2,275 2,262 2,741 2,379
対前年伸率 8.6 3.4 10.7 -5.9 5.5 5.7 7.1 7.8 -8.3 8.4 2.0 7.1 9.7
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、注:17年、18年は速報値)


 また、国際通貨基金(IMF)の「国際収支国際投資ポジションマニュアル」(BPM第6版)に準拠した包括的OFW送金データ(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与含む)によると、1月の包括的OFW送金額は前年同月比10.8%増の26億5,500万米ドルと増加した。前年同月比10.8%増というのは、2017年3月の11.8%増以来、10カ月ぶりの高い伸び率である。銀行経由送金額と同様にペソ安が寄与したようである。

 BSP総裁は、熟練OFWに対する根強い需要に加え、継続的な銀行・ノンバンク系送金機関のネットワーク拡大や送金市場における金融商品の革新等が送金流入の増加に寄与していると説明した(18年3月15日のフィリピン中央銀行発表より)。


包括的OFW送金額(単位:百万米ドル、伸び率:%)

項目 年間推移
11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
送金額 21,922 23,352 25,369 27,273 28,308 29,706 31,288
対前年伸率 6.6 6.5 8.6 7.5 3.8 4.9 5.3
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、注:17年、18年は速報値) 


月別包括的OFW送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%)
17年 18年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
送金額 2,396 2,397 2,915 2,317 2,588 2,751 2,559 2,800 2,442 2,552 2,526 3,046 2,655
対前年伸率 8.5 3.3 11.8 -5.2 7.1 6.8 8.7 9.4 -7.0 9.7 3.2 7.9 10.8
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、注:17年、18年は速報値)