比コンビニエンス・ストア、収益力格差も更に拡大
税引前利益:セブン19億ペソ、ミニストップ5千万ペソ
2018/04/23
フィリピンの大手コンビニエンスストアの2017年(1月~12月)の業績動向が明らかになってきた。フィリピン証券取引所(PSE)上場のフィリピンセブン(セブンイレブン運営企業)は4月5日に年次報告書を発表したほか、その他の企業の収益動向は現地パートナー企業の事業報告書等に部分的に記載されている。
比の主な日系コンビニ店舗数(年末・月末値、この時点で比セブンイレブンは資本的に非日系企業 )
(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはサイト等からの推計値)
首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2017年9末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2016年末には1995店に達し、フィリピンでの24時間営業のブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約60%を 誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。
2017年も店舗数が順調に増加、3月8日に2千店を突破した。年間では290店純増、2017年末で2,285店となり、前年末の1,995店から率にして14.5%増加した。2016年以降は店舗数の減少が続くミニストップ(2017年末496店)やファミリーマート(同66店)との差を拡大させている。
2017年末のセブンイ レブン2,285店の地域別内訳はルソン地域1,802店(うちマニラ首都圏879店)、セブを中心とするビサヤ地域313店、ダバオを中心とするミンダナオ地域170店となっている。また自営店が46%、54%がフランチャイズ店となっている。
このようなPSCによるセブンイレブンの2017年(1月~12月)のグループ総売上高(システムワイドセールス)は前年比18.2%増の375億3,075万ペソ、商品売上高は同13.2%増の320億8,844万ペソに達した。増収効果や効率化効果などにより、税引前利益は同12%増の19億1,583万ペソ、純利益は同12.1%増の13億1,790万ペソとなった。下表の様に、年間ベースの純利益は順調に増加してきている。
フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
一方、日系ブランドで当地第2位のミニストップは、ロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)によってフランチャイズ展開されている。RCSIは、三菱商事、ミ ニストップ株式会社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ リテイル(RRHI)グループとの共同事業である。2000年にRCSIとミニストップ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が正式締結され、2000年12月にミニストップのフィリピン1号店がオープンした。RRHIは2013年11月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場された。
フィリピンでのミニストップ店舗数は、2012年末337店(店舗数は日本側発表数字、以下同様)、 2013年末386店、2014年末454店、2015年末519店と順調に増加してきた。しかし、2016年に入るとブレーキがかかり、同12月末は499店、2017年末496店と減少傾向となっている。
4月16日に発表されたRRHIの事業報告書などによると、2017年のフィリピンミニストップのグループ総売上高は前年比1.5%増の86億4,000万ペソ、商品売上高は同0.8増の57億1,000万ペソで、額、伸び率ともにセブンイレブンに大きな差をつけられている。仕入れコストや営業費用抑制や金融収支の改善などで、税引前損益は4,888万ペソの黒字となり、前年の7,412万ペソの赤字からは改善したが、セブンイレブンの約40分の1の水準にとどまっている。収益力においても、第2位のミニストップさえ、セブンイレブンに大差をつけられているといえよう。
2017年の主要コンビニエンスストア比較(前年同月比、単位:万ペソ)
(出所フィリピンセブンとロビンソンズ・リテール年次報告書などより作成)
比の主な日系コンビニ店舗数(年末・月末値、
年・月 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | ||||||
3月 | 6月 | 9月 | 12月 | 3月 | 6月 | 9月 | 12 月 | 3月 | |||||
セブンイレブン | 829 | 1,009 | 1,282 | 1,602 | 1,655 | 1,740 | 1,840 | 1,995 | 2,031 | 2,087 | 2,172 | 2,285 | N.A. |
ミニストップ | 337 | 386 | 454 | 519 | 518 | 513 | 501 | 499 | 493 | 491 | 489 | 496 | 489 |
ファミリーマート | 0 | 31 | 87 | 120 | 104 | 102 | 101 | 99 | 81 | 72 | 68 | 66 | 64 |
ローソン | 0 | 0 | 0 | 16 | 17 | 19 | 24 | 29 | 30 | 32 | 33 | 31 | 34 |
首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)
2017年も店舗数が順調に増加、3月8日に2千店を突破した。
2017年末のセブンイ レブン2,285店の地域別内訳はルソン地域1,802店(
このようなPSCによるセブンイレブンの2017年(1月~
フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年末)
時期 | 06年 | 07年 | 08年 | 09年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 |
店舗数 | 287 | 311 | 368 | 447 | 551 | 689 | 829 | 1,009 | 1,282 | 1,602 | 1,995 | 2.285 |
純利益 | 20.1 | 54.8 | 84.3 | 155.8 | 276.9 | 356.3 | 465.2 | 682.6 | 873.3 | 1,008.3 | 1,175.5 | 1,317.9 |
一方、日系ブランドで当地第2位のミニストップは、
フィリピンでのミニストップ店舗数は、2012年末337店(
4月16日に発表されたRRHIの事業報告書などによると、
2017年の主要コンビニエンスストア比較(前年同月比、単位:
項目 | 比セブンイレブン | 比ミニストップ |
企業目名 | PSC | RCSI |
12月末店舗数 | 2,285店 | 496店 |
マニラ首都圏店舗数 | 879店 | 319店 |
その他ルソン店舗数 | 923店 | 150店 |
ビサヤ店舗数 | 313店 | 27店 |
ミンダナオ店舗数 | 170店 | 0店 |
店舗数増加率 | 14.5% | -0.6% |
グループ全売上高 | 3,753,075 | 86,4000 |
商品売上高 | 3,208,844 | 571,000 |
商品売上高増加率 | 13.2% | 0.8% |
税引前利益 | 191,583 | 4,888 |
税引前利益増加率 | 12.0% | 黒字転換 |