比ヤクルト販売数量17%増、主要市場で最高の伸び

1日306万本に、中東へも輸出、今年創業40周年

2018/05/11

 このところのフィリピンでのヤクルト販売数量が好調で、主要市場でトップクラスの伸び率を継続している。2017年(1月~12月)もその勢いが続いた。

   フィリピンでは、ヤクルト本社が40%出資するフィリピンヤクルト(持分法適用会社)が、1978年10月から営業を行っている。すなわち、今年に創業40周年を迎えるのである。海外発売時期としては、1964年の台湾、1968年のブラジル、1969年の香港、1971年の韓国とタイに次ぐ歴史を有している。現在は、ヤクルトとヤクルトライトを製造販売している。

   5月10日発表のヤクルト本社2017年3月期連結決算補足説明資料などによると、2017年のフィリピンヤクルトの一日当り販売数量前年比12.7%増の276万2千本に達した。フィリピンの前年比12.7%増という伸び率は、ベトナムの
27.9%増、中国の20.2%増、インドの18.5%増、米国15.3%増に次ぐ5位であった。ただし、ベトナム、インド、米国は市場規模が小さく、1日当たり50本以上の規模の主要市場においては 、フィリピンは、中国に次ぐ第2位の伸びを示したといえよう。そして、フィリピンでは、需要が非常に好調であり、生産能力増強を図りつつあるが、需要拡大ピッチに追い付かず、一部出荷制限を行わなければならない状況が続いた。このような供給面での制約がなければ、販売伸び率はさらに高くなった可能性がある。

    フィリピンでは、2017年だけでなく、2014年が17.7%増、2015年が14.0%増、2016年が14.5%増と世界の主要市場でトップクラスの伸び率を続けてきている。そして、2017年の一日当り販売数量276万2千本は、2006年の同94万8千本の2.9倍となっている。2007年に同100万3千本と百万本の大台突破、2015年に同213万9千本で二百万本突破と順調に拡大してきている。


   また、2018年第1四半期(1月~3月)の速報値では、フィリピンヤクルトの一日当り販売数量は前年同期比17.0%増の305万9千本と伸び率を高めている。この販売数量は、海外市場では中国の591万2千本、インドネシアの526万8千本、メキシコの375万9千本、韓国の316万3千本に次ぐ世界第5位で、タイの225万8千本を大幅に上回るとともに、第4位の韓国と微差となっている。

   17.0%増という伸び率は、一日当り販売数量50万本以上という主要市場では最高の伸び率であった。ちなみに、中国は同9.9%増、インドネシアは同6.9%増であった。また、アジア・オセアニア地域全体の一日当り販売数量は同6.6%増の2,195万3千本、海外全体では同4.7%増の2,857万5千本であった。 

   なお、ヤクルト本社は、中東地域のアラブ首長国連邦(UAE)、オマーン、バーレーン、カタール、クウェートでにおいて、2017年3月末に「ヤクルト」、今年4月には「ヤクルトライト」の販売を開始した。これら5カ国では、フィリピンヤクルト工場から輸入して販売している。5カ国の2018年第1四半期の一日販売数量は前年同期比1,104.8%増の1万6千本であった。フィリピンが中東での拡販にも貢献している。

    フィリピンヤクルトの資本金は18億ペソ、2016年末の従業員数は1,298人、ヤクルトレディは3,110人、取引店は15万1,721店に達している。工場はラグナ州カランバ市に立地している。そして、日本と同基準の厳しい品質管理で製造された「ヤクルト」を1本8ペソ(約18円)いう低価格で提供してきた。したがって、「ヤクルト」は、安価な栄養食品となっており、庶民の強い味方として知名度も高くなっている(18年5月11日の株式会社ヤクルト本社発表などより)。


フィリピンヤクルトの1日当たり販売数量推移(単位:千本)
06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年
数量 948 1,003 1,217 1,299 1,220 1,295 1,502 1,594 1,877 2,139 2,449 2,762
伸率 1.7% 5.7% 21.4% 6.9% -6.1% 6.2% 15.9% 6.2% 17.7% 14.0% 14.5% 12.7%
(出所:ヤク ルト本社決算発表補足資料などから作成)