サンミゲル、第1四半期純利益13%増の156億ペソ

キリン出資のビール事業純利益は26%増の57億ペソ

2018/05/14

  フィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(SMC)が、5月11日、2018年第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。

 SMCの今第1四半期の純収入は前年同期比20%増の2,343億ペソに達した。原油価格上昇に伴い石油元売り最大手ぺトロンが同21%増収となったことなどで全体としても二桁増収となった。その他の事業も総じて好調に推移したことなどで、全体の営業利益は同19%増の327億ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は同17%増の415億ペソ、報告純利益は同13%増の156億ペソに達した。一時的差損益などを除いた経常的純利益は同31%増の194億ペソ、すなわち実質31%増益決算だったとのことである。

 キリン・ホールディングス(キリン)が約48.39%出資するサンミゲル・ブリュワリー(サンミゲル・ビール=SMB)の販売数量は同11%増の6,500万ケース、純売上高は同18%増の298億ペソに達した。増収効果やコスト抑制効果などにより営業利益は同25%増の83億ペソ、純利益は同26%増の57億ペソと二桁増収増益決算となった。
 
 ヒネブラ・サンミゲルが展開する洋酒部門の販売数量は同20%増と好調であった。純売上高も同24%増の64億ペソ、大幅増収効果やコスト抑制効果などにより営業利益は同58%増の4億7,800万ペソ、純利益は同97%増の2億5,500万ペソへと急増した。

 サンミゲル・ピュアフーズ(今年4月からサンミゲルフーズ&ビバレッジへと社名変更)による食品事業の売上高は同12%増の298億ペソに達した。特に、ブランド肉類加工品、食肉、鶏肉などが好調であった。ただし、原材料費上昇や販売費増加などにより営業利益は同4%増の21億6,100万ペソと一桁増加にとどまった。そして、為替損や評価損などにより、純利益は同7%減の13億6,100万ペソへと減少した。

 パッケージ部門(サンミゲル山村パッケージング)の売上高は同25%増の86億ペソ、営業利益は同26%増の7億9,400万ペソと二桁増収増益であった。特に、国内のガラス・プラスチック容器事業や豪州事業が好調であった。

 多角化事業の一つであるで電力事業の収入は同27%増の247億ペソ、営業利益は同32%増のの80億ペソへと急回復した。サンミゲルの電力事業は、 2010年第3四半期から持ち株会社SMCグローバル・パワー・ホールディングスのもとに集約されている。現在リマイ発電所(150MW×2)やマリタ発電所(150MW×2)を建設中である。

 石油製品部門(ペトロン)の販売数量は同横ばいの2,656万バレルにとどまったが、販売価格上昇や高付加価値製品の売り上げ比率拡大などにより、売上高は同21%増の1,291億ペソに達した。ただし、調達コストも増加したことなどで、営業利益は同1%減の88億ペソ、純利益は同4%増の58億ペソとやや伸び悩んだ。
 
 インフラ事業担当のSMCインフラストラクチャーの純収入は同11%増の59億ペソ、営業利益は同22%増の31億ペソと堅調であった
 
 更なる多角化、事業基盤拡大の過程で有利子負債が膨張し、2017年8月末時点で7,210億ペソに達し、、2017年末の5,490億ペソから一段と拡大している。負債残高は高水準であるが、現金残高も2,370億ペソと高水準。総負債対自己資本比率は2.25倍(2017年末1.93倍)、有利子負債対自己資本比率は1.48倍(同1.17倍)、純負債対EBITDA比率は2.68倍(同1.83倍)となっている(18年5月11日のフィリピン証券取引所回覧03304-2018号などより)。