比パナソニック、売上高100億ペソ突破

5%増収も純利益は51%減の2.6億ペソ

2018/05/18

    パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、2月21日、2017年度(2017年4月~2018年3月)のインフォメーション・ステートメントを公表した。

 近年急上昇を続けてきたPMPCの業績は、2017年度についてはは、非常に好調であった前年度との比較では減益となり、業績上昇トレンドは一服となった。ただし、中期的な上昇トレンドは崩れていないとの見方が多いようだ。

 2017年度の売上高は前年同期比5.1%増の104億8,556万ペソに達し、100億ペソの大台を突破した。前年度は前半のエルニーニョ現象に伴う少雨高温という気候が追い風となりエアコンの売上高が絶好調であり、全体として23%増収であった。それとの比較でやや伸び悩みという結果となったが、依然増収であり、インバーター製品中心に堅調な売上が続いたといえよう。

 増収率が鈍化する一方、原材料費値上がりやペソ安による輸入コスト増加などにより、製造コストは同13%増の80億8,039万ペソに達したことで、粗利益は同18.7%減の20億0,517万ペソにとどまった。広告費中心に販売費を同19.3%削減したが、一般管理費は同5.7%増加した。これらにより、純利益は同50.7%減の2億6,403万ペソにとどまり、同113%増益と絶好調であった前年度との比較では大幅減益という結果となった。

 PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けてきた。2016年度の純利益は2011年度に比べ9.2倍へと急拡大している。2017年度は絶好調であった前年度の反動やペソ安の悪影響で業績向上一服という結果となったが、今後も主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで業績再上昇を目指す。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく方針である。


パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ、17年度は速報値)
項目 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 伸び率
売上高 594,273 640,939 659.639 671,343 812,434 997,428 1,048,556 5.1%
粗利益 142,356 168,913 173,238 142,566 180,352 246,739 200,517 -18.7%
税引前利益 8,712 16,247 20,152 21,695 39,969 66,721 31,691 -52.5%
所得税費用 2,902 7,862 3,947 5,437 14,872 13,138 5,288 -59.7%
純利益 5,810 8,384 16,205 16,258 25,098 53,584 26,403 -50.7%
 (出所:PMPC事業 報告書から作成)

 なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年を迎え、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎える。
 
 PMPCの前身は1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は14.91%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2017年末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。