比トヨタファイナンシャル、第1四半期59%増益に

二輪車金融の住商モーターファイナンスも34%増益

2018/05/21

 フィリピン第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車販売金融事業も強化している。

 GTCAPは、2014年9月に、トヨタファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC、設立2002年)の株式40%を取得した。現在のTFSPC株式保有比率はトヨタファイナンシャル・サービス60%、GTCAP40%となっている。トヨタ車の高シェアを背景にTFSPCの業績も堅調に推移している
 
 GTCAPの2018年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、トヨタファイナンシャル・サービス・フィリピン(TFSPC)の今第1四半期の総金融収入は前年同期比31.7%増の14億4,460万ペソと二桁増収ペースが続いた。車両税改定に伴う新車販売台数減少でTFSPCの新規融資対象車両数も同3%減の8,288台へと小幅減少した。しかし、金利上昇や融資残高が前年同期末比30.7%増の616億ペソに達したことなどで大幅増収となった。
 
 これらの結果、純金利収入も同22.9%増の8億0,790万ペソへと二桁増加した。純金利収入増加に加え、貸し倒れ引き当て等に関する会計基準変更などで純利益は同58.9%増の1億9,500万ペソへと大幅増加となった。下表の様に、年間ベースでも収益、資産ともに拡大基調を辿っている。


 トヨタファイナンシャルサービス・フィリピンの業績(単位:百万ペソ、18年のみ第1四半期実績)
2014年 2015年 2016年 2017年 18年第1四半期 伸率
金融収入 2,433.7 3,026.7 3,641.7 4,920.6 1,444.6 31.7%
純金利収入 1,423.2 1,767.7 2,148.8 2,860.8 807.9 22.9%
純利益 398.0 515.5 555.1 687.6 195.0 58.9%
融資残高 28,357.0 33,304.4 43,789.9 59,036.5 61,554.8 30.7%
総資産 39,424.8 44,278.4 55,581.4 71,724.3 75,222.2 28.1%
株主資本 3,842.7 4,369.4 4,941.5 6,850.1 7,075.9 40.1%
(出所:GTキャピタルの年次報告書や事業報告書、インフォメーション・ステートメントなどより作成)  

 GTCAPは2017年8月、フィリピンの個人顧客向け二輪車ファイナンス会社「住商モーターファイナンス(SMFC)」の株式20%を取得した。
 
 2009年に設立されたSMFCは、資本金20億ペソで出資比率は、住友商事50%、メトロバンク傘下の有力貯蓄銀行フィリピン・セービングス・バンク(PSBank)グループ50%となっていた。GTCAPは、PSBankとPSBank退職基金からSMFC株を各々100万株(10%)を取得、合計200万株(20%)を取得。1株当たり取得価格は94.98ペソで、取得総額は3億7,992万ペソであった。この取引完了で、SMFC保有比率は住友商事50%、PSBankグループ30%、GTCAP20%となった。

 上記の株式売買は、メトロバンクグループ内の保有権移転であり、住友商事50%、メトロバンクグループ50%という大きな枠組みには変更はない。しかし、GTCAPは注力中の自動車事業基盤の強化や顧客層の多様化、PSBankは売却資金による中核的自己資本の強化などの効果につながると期待される。

 GTCAPの2018年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、「住商モーターファイナンス(SMFC)」の今第1四半期の総金融収入は前年同期比34.6%増の2億5,470万ペソに達した。二輪車の急ピッチの普及でSMFCの新規融資対象車両数も同46%増の1万1,895台へと急増。金利上昇や融資残高が前年同期末比42.3%増の36億2,500万ペソに達したこともあって大幅増収となった。
 
 これらの結果、純金利収入も同30.8%増の2億4,020万ペソ、純利益は同34.2%増の5,380万ペソへと各々二桁増加となった(GTキャピタル第1四半期事業報告書などより)。