比商業銀行の総資産、11%増の15兆ペソに

首位BDOの2兆8千億ペソ、2位はメトロバンク

2018/05/29

第1四半期帰属純利益首位はBPIの62.5億ペソ


フィリピンの銀行業界の業績は2018年第1四半期(1月~3月)も引き続き堅調に推移、事業基盤もさらに拡充されつつある。

 ビジネスワールド紙による第1四半期フィリピン商業銀行レポートによると、2018年第1四半期末の商業銀行(拡大商業銀行{ユニバーサルバンク}含む43行)の総資産は前年同期比10.97%増の15兆ペソに達し、9四半期連続での同二桁増加となった。そのうちの54%を占める融資残高は同17.8%増の8兆0,700億ペソとなった。

 自己資本比率(CAR)は18.2%で前年同期末の17.2%から更に上昇した。一方、不良債権(NPL)比率は1.57%で同1.42%からは小幅上昇したものの依然低水準。NPL貸倒引き当て比率は152.8%で同149.4%から更に向上した。

 各行の業績も総じて底堅く推移したが、調達金利コスト負担増加や一部銀行の非金利収入の減少などで増益率は鈍化、自己資本利益率(ROE)は5.09%で前年同期の5.70%から小幅低下となった。

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の民間銀行の第1四半期決算もほぼ出そろった、総じて大幅増益決算となっている。資産規模では、BDOユニバンク(BDO)が総資産(2兆7,975億ペソ)、純資産(2,996億ペソ)、受け入れ預金残高(2兆2,422億ペソ融資残高(1兆8,864億ペソ)いずれもトップとなっている。総資産で2位のメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)も2兆ペソ)、超、3位のバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)も2兆ペソに接近している。

 バーゼル3基準の自己資本比率(CAR)では、セキュリティバンクが18.8%と非常に高水準であることが目立つ。上位行での2位はフィリピン・ナショナル・バンク(PNB)の15.3%、3位メトロバンクの14.5%と続く。 

 第1四半期の帰属純利益はBPIが62億4,700万ペソでトップ、2位がBDOの58億7,700万ペソ、3位がメトロバンクの58億5,600万ペソと続く。トップ3以外では、セキュリティバンクの23億4,700万ペソが目立つ。セキュリティバンクは売買益減少で17%減益となったもののその利益額は依然高水準である。自己資本利益率ではBPIが13.5%で上位行でトップ、メトロバンクが11.2%で2位となっている。

 これまでと同様、規模ではBDO、収益力ではBPI、財務内容の良好さではセキュリティバンクが目立っている。


フィリピン民間上位銀行の2018年3月末の資産等の状況(単位:億ペソ) 

銀行名 総資産 純資産 自己資本比率(CAR) 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 27,975 2,996 14.3% 22,422 18,864
メトロバンク 20,657 2,167 14.5% 15,528 12,534
BPI 19,144 1,924 13.6% 15,871 12,099
PNB 8,507 1,212 15.3% 6,581 5,025
チャイナバンク 7,234 830 13.7% 6,137 4,459
セキュリティバンク 7,026 1,057 18.8% 4,200 3,666
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)

 
 
フィリピン民間上位銀行の2018年第1四半期の収益動向(単位:億ペソ) 
銀行名 純金利収入 伸率 純利益 伸率 帰属純利益 伸率 ROE
BDOユニバンク 221.70 20.2% 58.65 0.5% 58.77 0.8% 7.9%
メトロバンク 161.03 10.9% 63.15 1.6% 58.56 5.3% 11.2%
BPI 125.12 8.9% 62.99 -0.5% 62.47 -0.1% 13.5%
PNB 64.27 24.8% 14.67 20.1% 14.42 21.0% 4.9%
チャイナバンク 52.91 18.4% 15.00 1.9% 14.98 1.9% 7.1%
セキュリティバンク 50.24 13.1% 23.47 -16.6% 23.47 -16.6% 8.9%
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)