17年の比旅行・観光成長率、24%へ加速

GDP寄与度は12.2%、比経済の新牽引役に

2018/06/08

  フィリピン統計庁(PSA)は、2017年のフィリピン旅行・観光産業の動向を発表した。それによると、2017年の旅行・観光直接粗付加価値額(TDGVA:名目ベース、以下同様)は、前年比24.2%増の1兆9,293億ペソに達し、名目GDP(国内総生産)に対する寄与度が12.2%となった。 

観光直接粗付加価値(TDGVA)とGDP(名目価格)(単位:百万ペソ)
TDGVA 成長率 GDP 成長率 対GDP比率
2011 660,096 18.2% 9,708,332 7.8% 6.8%
2012 836,506 26.7% 10,567,336 8.8% 7.9%
2013 941,749 12.6% 11,538,410 9.2% 8.2%
2014 1,131,276 20.1% 12,634,187 9.5% 9.0%
2015 1,351,198 19.4% 13,322,041 5.4% 10.1%
2016 1,553,672 15.0% 14,479,945 8.7% 10.7%
2017 1,929,267 24.2% 15,806,359 9.2% 12.2%
(フィリピン統計庁資料より作成)


 旅行・観光の経済波及効果は大きく、TDGVAは、訪比外国人・在外フィリピン人(Inbound visitor)やフィリピン国民(Domestic visitor)の観光活動に関して、各業界の付加価値を計る指標として役立つ。2017年のインバウンド観光消費(訪比外国人・在外フィリピン人の国内観光における支出)は、前年比43.9%増の4,486億ペソに達した。訪比旅行者の消費は年々拡大傾向にあり、2017年のインバウンド観光のフィリピン輸出総額632億3,300万米ドル(約3兆1,591億ペソ、2017年12月末換算1ドル=49.960)に占める割合は9.2%であった。

   また、フィリピン国民及び居住者による国内観光消費(海外旅行に付随して国内で支出するものも含め)は前年比25.5%増の2兆6,448億ペソ。これは家庭最終消費支出の22.8%に相当する水準である。一方、旅行・観光産業における雇用者数は推定530万人で、前年(520万人)から0.9%増加、国内の総雇用者数の13.1%を占めた。雇用面でも旅行産業の重要性が高まっているといえる。

    以上の数値はフィリピン観光サテライト勘定(PTSA)の最新データに基づいている。PTSAはフィリピン統計庁(PSA)が観光省(DOT)、 PSA観光統計庁間委員会の協力を得て作成されている(18年6月7日のフィリピン統計庁発表より)。