「PHリゾーツ」誕生へ、セブやクラークでIR事業

ウデンナのカジノ・娯楽事業の実質的裏口上場

2018/06/26

   ドゥテルテ大統領の地盤であるミンダナオ島ダバオ市を拠点とする有力財界人のデニス・ウイ氏は、Udenna Development Corp(UDC)等のもとで、石油販売、海運、ロジスティクス、不動産開発などを幅広い事業を展開している。

 デニス・ウイ氏は、PSE上場企業のフェニックス・ペトロリアム(PNX)の社長兼CEOでもある。PNXは、今年1月、フィリピンでファミリーマートを展開する「フィリピンファミリーマートCVS社(PFM)」の株式100%を、既存株主(SIAL CVSリテイラーズ社、株式会社ファミリーマート、伊藤忠商事)から取得した。

 さらに、UDCグループは、このほど、地方水道企業であるフィリピンH2O ベンチャーズ(H2O、PSE上場)を買収した。これまでH2Oは、不動産企業ジョリビレ・ホールディングス(PSE上場)の子会社であったが、UDC傘下企業となった。

 H2Oは、6月25日開催の取締役会において、社名のPHリゾーツグループ・ホールディングス(PHリゾーツ)への変更、授権資本額を5億ペソから80億ペソへと16倍に増額すること、主たる事業目的を水道事業からホテル・カジノ・娯楽事業へと変更することなどを決議した。また、デニス・ウイ氏がPHリゾーツの取締役会長に選任された。

 UDCは、既にセブ・マクタン島ラプラプ市におけるカジノを含む統合型リゾート(IR)プロジェクトを推進しようとしている。このIRプロジェクトは、「ラプラプ・レジャー・マクタン」と称され、マクタン・セブ空港から6キロメートル(車で20分)の12.5ヘクタールの土地に、大型カジノリゾートを開発するという構想であり、2019年に部分開業、2022年に正式開業と予定、総工費は3億4,100万米ドルと見積もられている。フィリピン賭博公社(PAGCOR)は、2017年5月、このIRプロジェクトに暫定ライセンスを供与したと発表している。

 UDCは、パンパンガ州アンヘレス市のクラーク グローバルシティ構想においてIRプロジェクトを推進しようとしている。今後は、このクラークと上記のセブのIRプロジェクトは、PHリゾーツのもとで実施されることになる。すなわち、UDCのIR事業が、H2O利用により裏口上場され、PHリゾーツとしてスタートすることになったといえよう(18年6月25日のフィリピン証券取引所回覧04340-2018号などより)。