比成人の金融機関口座保有比率25%と低水準

電子マネー口座保有者1.3%、ハッキング等懸念

2018/07/13

    フィリピン中央銀行(BSP)の2017年金融包摂調査(FIS)によると、口座を保有する成人(15歳以上)フィリピン人は1,580万人で、成人人口の約4分の1と推定されている。

 内訳は、銀行口座が11.5%と最もシェアが高く、非政府系マイクロファイナンス機関(8.1%)、協同組合(2.9%)、非株式貯蓄融資協会(0.3%)などノンバンク系を上回った。電子マネー口座保有者は1.3%であった。フィリピンは多くの途上国と異なって女性の金融商品・サービスの利用レベルが高い。銀行口座と電子マネー口座の普及率では男性がわずかに高いが、一般的に女性の口座保有率は男性の2倍となっている。

    口座を持たない5,280万人の主な理由は、十分な資金がない(60%)、必要性の欠如(21%)、必要書類の欠如(18%)であった。そのほか、コストが高い(10%)、口座開設知識の不足(9%)、仕事の不足(8%)、意識の欠如(8%)などが理由として挙げられた。

前回の調査(2015年)と比較すると、成人の貯蓄率は43%から48%に増加、一方で借入は47%から22%に減少した。とくに、インフォーマル金融からの借入は、72%から40%に大幅に減少している。

    口座普及率は低く、成長も低調であるが、電子決済などのデジタル技術導入による普及が期待される。現時点で口座は、決済と送金の取引では十分に活用されておらず、口座所有者のうち給与受け取りを行っているのは18%、送金/受取は12%、年金受取は6%。送金に関する手続きでは、過去6カ月で送金の93%が代理業者を利用、受取では83%と、電子決済サービスの利用は低水準となっている。

    利用者は第一に利便性、そのほか安価な手数料やアクセスポイントの数、サービスの迅速性などを求めており、ATMやモバイルバンキングなどの電子決済システムに対しては、口座保有者の46%が、ハッキング、個人情報、安全ではないアクセスなどへの懸念を示した。

   したがってBSPは、安全かつ持続可能で、利便性が高く、手頃な価格で、あらゆるユーザーの多様なニーズをサポートするデジタル金融システムの開発を目指す。これに向けて、BSPは全国リテール決済システム(NRPS)の実装、預金口座を通じた口座へのアクセスの民主化や支店・代理業者を通じた広範な低価格サービスネットワークを構築するための規制を公布している(18年7月11日のフィリピン中央銀行発表より)。