比セブンイレブン独走、上半期は19%増益

店舗数断トツ、1年間で299店増の2,386店に

2018/07/15

  フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブン-イレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、現在34店に達しているとみられる。

 首位のセブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2017年12月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2016年末には1995店、2017年末には2,285店に達し、フィリピンでの24時間営業のブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%超を誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 2018年も店舗数が順調に増加している。2018年6月末で2,386 店に達し、前年同月末の2,087店から299店、率にして14.3%増加した。2016年以降は店舗数の減少傾向のミニストップ(2018年6月末488店)やファミリーマート(同65店)との差を拡大させている。2018年通年では35億ペソを投じて300店以上の出店を行う意向である。
 
 2018年6月末のセブン-イレブン2,386店の地域別内訳はルソン地域1,866店(うちマニラ首都圏906店)、セブを中心とするビサヤ地域331店、ダバオを中心とするミンダナオ地域189店となっている。また自営店が46%、56%がフランチャイズ店となっている。

 このようなPSCの2018年上半期(1月~6月)のグループ全売上高は前年同期比22.7%増の222億ペソ、商品売上高は同23.7%増の189億ペソに達した。増収効果や効率化効果などにより営業利益は同19.3%増の7億8,510万ペソ、純利益は同19.4%増の5億3,320万ペソとなった。1株当たり純利益(EPS)も同19.4%増の0.70ペソに達した。

 好業績の要因は新店効果に加え、既存店売上高が同9.2%増と好調だったことなどである。2018年初から導入された税制促進包括改革(TRAIN)パッケージ1については、個人所得税率引き下げによる購買力向上という好影響をもたらした。また、加糖飲料への課税に関しても、売上数量は落ち込むことはなく、売上単価の上昇という効果をもたらした(18年7月13日のフィリピン証券取引所回覧04789-2018号などより)。


フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年上半期 
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2,285  2,386
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9  533.2
 (出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系企業)
年・月 12年 13年 14年 15年 16年 17年  18年
3月 6月 9月 12月 3月 6月 9月 12月 3月  6月 
セブン-イレブン 829 1,009 1,282 1,602 1,655 1,740 1,840 1,995 2,031 2,087 2,172 2,285 2,329  2,386 
ミニストップ 337 386 454 519 518 513 501 499 493 491 489 496 489  488 
ファミリーマート 0 31 87 120 104 102 101 99 81 72 68 66  64 65 
ローソン 0 0 0 16 17 19 24 29 30 32 33 31 34 34 
 (出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはウエブサイト等からの推計値)