インスタリム、比で世界初の3Dプリント義足製品化へ

ジェトロの「日ASEAN新産業創出実証事業」に採択

2018/07/25

 3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して低価格な3Dプリント義肢装具を開発するインスタリム社(本社:東京都世田谷区池尻)は、3Dプリント義足の製品化に向けた実証実験をフィリピンにて開始した。この実証実験を通じて、安全面などを最終検証のうえプロダクトを完成させ、2019年春頃をめどにフィリピンにて事業開始予定である。

<インスタリム社の事業背景>
 従来の義足は、多大な製造過程・設備コストや、患者個人に合わせて製作する義肢装具士の技術力が必要となるため、1本あたり30~100万円高価であり、またその製作には通常2~3週間程度かかる。そのため、開発途上国を中心にそのような義足を購入することができずに、社会参画が困難となっている人々が多く存在している。フィリピンだけでも100万人以上が必要な義足を手に入れられていないという実態がある。
 インスタリム社は、このような社会課題を解決すべく、義肢装具製作専用の3Dモデリングソフト、3Dプリンター、機械学習による形状レコメンド機能などを含む義肢装具のカスタム量産ソリューションをオリジナル開発している。これにより、従来の約10分の1のコストダウンと納期短縮を実現できる見込みである。

<今回の実証実験について>
 上記の実現にあたり先般、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)の「日ASEAN新産業創出実証事業(事業化可能性検証事業)」に採択された(一般財団法人日本国際協力システム(JICS)、フィリピン大学総合病院(UP-PGH)と共同実施)。この採択による約2,200万円の支援を受けてこの度、3Dプリント膝下義足の製品化に向けた以下の実証実験をフィリピンにて開始した。

・実施時期:2018年7月~2019年2月(予定)
・実施地域:フィリピン マニラ首都圏地域
・主な実施内容:
  ①被験者50名に対して義足を製作・提供し、6か月間の実生活試用によるテスト
  ②上記製作を通じて、当社開発の各ソリューションの検証
  ③上記の当社ソリューションを利用する、医師や義肢装具士に対するユーザビリティのテスト

<今後の事業化について>
 本実証実験を通じて、安全面などを最終検証したプロダクトの完成と一連の製造オペレーションの構築を完了できる見込みである。その後、フィリピンにインスタリム社初となる海外現地法人を設立のうえ、2019年春頃をめどに事業開始予定である。このような3Dプリント義足の製品化(カスタム量産化)は世界初(試供品提供ではなく事業化を前提としたカスタム量産体制が構築された3Dプリンタ・CAD義足事業として)の取り組みとなる。
 なおインスタリム社が対象とする市場規模は、義足の顕在市場が約2,000億円、義肢装具全般の顕在市場では2.2兆円に達する。更にインスタリム社が特に着目する、現在患者が義足を手に入れられていない潜在的市場の存在を考慮すると、フィリピンの義足市場だけでも100億円市場と推計される。
 この事業化を通じて、インスタリム社のビジョンである「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界を作る」の実現を目指し、日本発の新しいものづくりの在り方として提案して行く方針である。なお、本件に対する問合せ先はインスタリム広報担当 E-mail:pr@instalimb.com である。
(18年7月24日の インスタリム株式会社ニュースリリースより)。