マニラ首都圏や近郊の邦人犯罪被害の傾向

美人局、集団すり、置引等:大使館が注意喚起

2018/08/15

 在フィリピン日本国大使館(大使館)は、8月14日、「マニラ首都圏および近郊地域における邦人犯罪被害の傾向(注意喚起)」というタイトルの安全対策情報は発出した。その内容は以下のとおり。
 
・フィリピンで発生する犯罪のほとんどは、グループによるものとみられており、あらかじめターゲットを絞った上で犯行に及んでいることが多いと考えられる。常に狙われているおそれがあることをあらためて認識するとともに、トラブルに巻き込まれないよう、安全対策や遵法意識を見直されたし。また、仮に何らかの事件に巻き込まれ身の危険を感じた場合には、絶対に抵抗せず常に生命と身体の安全を最優先されたし。 
マニラ首都圏及び近郊における最近の邦人犯罪被害の傾向は以下のとおり。 
 
1. 集団スリ被害 
(1) 典型例のひとつとして、商店街の歩道や狭い路地等において、子供たちや浮浪者に取り囲まれ、小銭等をせがまれて困惑している隙に、バッグやウエストポーチの中から財布を抜き取られるという例が挙げられる。一人歩きはできるだけ避けるようにし、また外出の際には、必要最小限の現金のみを持ち歩くようにする(あるいは財布を二個用意し、ひとつはすぐに取り出せるように工夫する)、毅然とした態度を示し、できる限り周囲を寄せ付けないようにする、恐怖を感じた場合は近くにいる第三者に大声で助けを求 める等の行動を心がけられたし(なお、困っているところを助けに入ってくれた現地人と仲良くなり、その後、他の犯罪に巻き込まれる(シナリオの一部になっている)例もあるので、簡単に気を許さないよう十分な注意を払われたし)。 
 
(2) もうひとつは、ショッピング・モールのエレベーターやエスカレーター、あるいは列車やバスの車中など、混み合う状況の中で、小銭やバッグ等を落とし、拾い集める人物とこれを手伝う人物等に行く手を阻まれ、進むことも退くこともできず戸惑ううちに、バッグやポケットの中から財布などを抜き取られるという例が挙げられる。買い物中又は散策中も、前後左右の人の動きにできる限り注意を払い、混み合うエレベーターやエスカレーターなどにはできる限り乗らないようにするなどの心構えが肝要。 < /span>
 
2. 置き引き被害 
 ファスト・フード店等において、バッグ等の置き引き被害が多発している。「現地人に話しかけられたので、これに応じている隙に・・・」という報告の多さも特徴のひとつ。バッグ類は、常に目に見える場所で確実に管理するよう心がけ、また席を外す際には必ず持ち歩くようにされたし。また、人混みなどでは、バッグなどはできる限り身体の前に抱えて持つように心がけられたし。 
 
3. いかさま賭博詐欺被害 
 ショッピング・モールや繁華街等を散策中、親しげに声をかけてきた人物(話し上手で裕福そうな年輩の女性など)に自宅と称する建物に案内されたあと、その家にいた家族(カジノのディーラーと称する男性)からブラック・ジャックの手ほどきを受け、「実はこれから、昨夜カジノで大金を稼いだばかりの人物が訪ねてくる。サインを決めておいてこいつをカモにしてやろう。」などともちかけられる。
 これに応ずると、想像以上にゲームが長引き、結局、胴元に多額の掛け金を預けることになり・・・というもの。元々ベトナムやマレーシアで被害報告の多い事例で、近年、セブでも頻発するようになってきているが、最近、マニラ首都圏や近郊において、同種の例が複数報告されている。
 フィリピンにおいても、私的賭博行為に関与した者はすべて処罰の対象となる(身柄を拘束されるばかりでなく、保釈されたとしても、その後の公判期間中は出国を停止され、有罪となれば、禁固刑を科される例もある)。本件のような場合でも、当事者が自主的に賭博に応じたと当局が判断すれば、場合によっては被害者とはみなされず、罪に問われることもある。簡単に見知らぬ人物の誘いには乗らないよう、くれぐれも注意されたし。 
 
4. 恐喝(いわゆる美人局)被害 
 フィリピンでは、日本人を含む外国人男性を狙った買春絡みの恐喝、いわゆる美人局(つつもたせ)が多く発生している。特に最近、都市部のショッピング・モールで若い女性に声をかけられ、同行した結果、金を出せと脅され、強く拒否したところ男性が現れて・・・といった例が多数寄せられている。多くの場合、声をかけてくる若い女性について行かなければ未然に防ぐことができるトラブルである。軽々に誘いに乗ることのないよう、くれぐれも注意されたし。
 なお、買春は違法行為であり、状況によっては最高で終身刑が科される重大犯罪となる。特に18歳未満の未成年者に対するわいせつ行為等は、たとえ双方合意の下であっても、終身刑等の重刑が科される例もある。遵法意識を強く持ち、上記3.同様、見知らぬ人物の誘いには軽々に乗らないよう注意されたし。 
 
5. その他 
 犯罪被害とは異なるが、最近、公共の場所での喫煙を見とがめられ、罰金の支払いを余儀なくされた、といった報告が少なからず寄せられている。現在、フィリピンでは、全土において、指定された場所以外での喫煙を禁じる大統領令が施行されている。喫煙可能なスペースが限られる上、警察官や自治体の係員等が厳格な取締り活動を行っており、ホテル、飲食店、ショッピング・モールといった商業施設等、すべての公共スペース(禁煙スペース)における喫煙はもとより、路上の歩行喫煙や吸い殻のポイ捨て等を見られると、通報を受け、初犯でも罰金が科される。
 
 犯罪被害例や防犯対策等、詳しくは「安全対策基礎データ(下記URL)」にも記載されているので、併せ参照されたし。
 安全対策基礎データ:http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html 
(18年8月14日の在フィリピン日本大使館発表より)。