比トヨタ、上半期の純利益30%減の45億ペソ

税制価格の影響、売上高は7%減の764億ペソ

2018/08/16

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて堅調に推移している。特に、TMPの強さが際立っており、2017 年まで18年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となっている。
 
 なお、GTCAPは、今年6月28日、フィリピン証券取引所(PSE)に対し、「トヨタ自動車へ最大で222億円(約2億米ドル)相当の出資をおこなう」と報告した。トヨタ自動車の約23兆2千億円という時価総額(6月28日現在)から見ると約0.1%の出資に過ぎないが、フィリピンでトヨタ車事業を主導しているGTCAPが、トヨタ自動車本体にも出資するということが注目される。
 
 8月15日発表のGTCAPの2018年上半期(1月~6月)報告書によると、TMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比12%減の7万4,777台、小売ベースの販売台数も同15%減の7万3,136台となった。車両税改定(大半の車種が増税)の影響や商業車の供給不足などにより二桁減少となった。市場シェアは38.2%と高水準ながら前年同期の39.3%から低下した。
 
 これらの結果、売上高は前年同期比6.9%減の764億ペソにとどまった。減収にくわえ、ペソ安などにともなうコスト増や販管増加などで、営業利益は26.6%減の57億2,170万ペソ、帰属純利益は29.6%減の44億6,000万ペソへと二桁減少した。減収減益となったものの、売上高や利益額は依然高水準であるし、車両税改定に伴う販売数量減少、ペソ安という環境下としては、底堅い業績推移であったといえよう。
 
 下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破している。そして、5年前の2012年と比較すると、売上高は2.6倍、帰属純利益は4.7倍、株主資本は2.4倍へと拡大している。2018年も車両税改定の影響が次第に希薄化し、引き続き100億ペソ超という高水準の利益を計上する可能性がある。
 

トヨタモーター・フィリピン(TMP)の業績等の推移(単位:百万ペソ、17年までは年間実績、18年は上半期実績)

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14

15

16

17

18年上半期

伸び率

売上高

72,560.0

80,676.6

104,886.9

114,289.4

155,832.5

185,337.1

76,361.9

-6.9%

粗利益

7,993.2

10,256.6

14,628.9

18,298.5

21,072.3

23,058.8

8,658.6

-16.0%

営業利益

3,718.2

5,719.1

9,859.3

13,909.9

15,669.0

16,798.2

5,721.7

-26.6%

帰属純利益

2,808.8

4,219.0

7,208.8

10,194.6

11,929.0

13,186.1

4,460.0

-29.6%

総資産

21,035.9

23,750.0

26,681.4

32,278.3

36,003.4

42,158.3

34,124.0

-19.1%

株主資本

8,053.2

9,285.9

11,923.3

15,228.4

17,492.3

19,147.6

11,215.3

-41.4%

 (出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)


 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。すなわち、設立30周年を迎えたのである。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。
 
 また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し今年9周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。