三菱商事、比ミニストップから資本撤退

ロビンソンズ リテイル等へ株式売却

2018/09/04

 ゴコンウェイ財閥の有力小売企業であるロビンソンズ リテイル・ホールディングス(RRHI)は、9月3日、三菱商事との間で、三菱商事の保有するロビンソンズ・コンビニエンス・ストアーズ(RCSI)株式8%を取得することで合意したと発表した。RCSIはミニストップ フィリピン(比ミニストップ)を展開している。

 三菱商事は、RCSI株式4%を株式会社ミニストップに売却することでも合意した。これらの売買が完了すると、RCSIの保有比率は、RRHI59.1%、ミニストップ本社40.9%、三菱商事ゼロとなる。すなわち、三菱商事は、比ミニストップから資本撤退することになる。
 
 なお、日系ブランド コンビニエンスストアで当地第2位の比ミニストップは、RCSIによってフランチャイズ展開されている。これまでRCSIは、三菱商事、ミニストップ本社、ゴコンウェイ・ファミリー傘下のロビンソンズ リテイル(RRHI)グループとの共同事業であった。2000年にRCSIとミニストップ本社との間でカントリー・フランチャイズ契約が正式締結され、2000年12月にミニストップのフィリピン1号店がオープンした。RRHIは2013年11月にフィリピン証券取引所(PSE)に新規上場された。
 
 フィリピンでのミニストップ店舗数は、2012年末337店(店舗数は日本側発表数字、以下同様)、2013年末386店、2014年末454店、2015年末519店と順調に増加してきた。しかし、2016年に入るとブレーキがかかり、同12月末は499店、2017年末496店、2018年7月末488店と減少傾向となっている。
 
 RRHIの年次報告書などによると、2017年の比ミニストップのグループ総売上高は前年比1.5%増の86億4,000万ペソ、商品売上高は同0.8%増の57億1,000万ペソで、額、伸び率ともに比セブンイレブンに大きな差をつけられている。仕入れコストや営業費用抑制や金融収支の改善などで、税引前損益は4,888万ペソの黒字となり、前年の7,412万ペソの赤字からは改善したが、比セブンイレブンの約40分の1の水準にとどまっている。収益力においても、第2位の比ミニストップさえ、比セブンイレブンに大差をつけられているといえよう。
 


主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値)

年・月 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
3月 6月 9月 12月 3月 6月 7月
セブン-イレブン 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2,031 2,087 2,172 2,285 2,329 2,386 N.A.
ミニストップ 337 386 454 519 499 493 491 489 496 489 488 488
ファミリーマート 0 31 87 120 99 81 72 68 66 64 65 66
ローソン 0 0 0 16 29 30 32 33 31 34 34 34
(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはウェブサイト等からの推計値)
注:比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系企業


2017年の主要コンビニエンスストア比較(前年同月比、単位:万ペソ)
項目 比セブンイレブン 比ミニストップ
企業目名 PSC RCSI
12月末店舗数 2,285店 496店
   マニラ首都圏店舗数 879店 319店
   その他ルソン店舗数 923店 150店
   ビサヤ店舗数 313店 27店
   ミンダナオ店舗数 170店 0店
店舗数増加率 14.5% -0.6%
グループ全売上高 3,753,075 864,000
商品売上高 3,208,844 571,000
商品売上高増加率 13.2% 0.8%
税引前利益 191,583 4,888
税引前利益増加率 12.0% 黒字転換

(出所:フィリピンセブンとロビンソンズ・リテイル年次報告書などより作成)