オカダ・マニラ、9カ月間の売上高338億円に

依然約48億円の営業損失、運営企業来年上場意向

2018/11/12

 カジノ・娯楽関連企業ユニバーサルテンターテインメント(ジャスダック上場、以下UE社)は11月9日、2018年年初9カ月間の連結決算を発表した。
 
 それによると、フィリピンのマニラ・ベイ地区で展開している統合型リゾート(IR)施設「Okada Manila」(オカダ・マニラ)によるカジノリゾート事業の純売上高は338億2,800万円、営業損失は47億5,800万円となった。ペソベースでのカジノ総売上高は191億1,000万ペソ。その内訳は、VIPテーブルゲームが88億6,600万ペソ、マスマーケット・テーブルゲームが46億9,200万ペソ、ゲーミングマシンが55億5,100万ペソであった。
 
 第3四半期(7-9月)の売上高は、前四半期(4-6月)から5億5,300万円減の121億8,700万円となった。但し、前四半期は、VIP向けのカジノの売上高が大手ジャンケットのグランドオープニングイベントに関連して一時的に大幅増加という特殊要因があった。それを考慮すると、当第3四半期の売上高は順調に伸びているといえよう。
 
 今第3四半期に開始したマス向けのマーケティング新施策(会員ロイヤリティ・プログラムやプロモーションの改善等)の効果が出てきており、フィリピン最大設置数のスロットマシン及びテーブルの好調な稼動によって、マスマーケットでの売上が増加した。前四半期の一時的増加要因を除くと、カジノ売上市場シェアはさらに拡大した。
 
 第3四半期におけるカジノリゾート事業の営業損失は、減価償却費が6億6,300万円増大したこと等により、前期比1億2,500万円増の17億3,700万円となった。しかし、調整後EBITDA(営業損益+減価償却費及び償却費+その他の調整項目)は10億8,100万円で、第2四半期の2億6,900万円、第1四半期の2,000万円から大きく増加した。
 
 オカダ・マニラでは、引き続き稼動施設の拡張に注力していく。第4四半期においては、ホテル客室数がさらに増えることで、カジノ事業が引き続き成長し、団体客のイベントや海外ツアー客のさらなる受け入れが見込まれる。VIP向けカジノでは、客室や施設の供給状況が改善し、既存のジャンケットの需要を満たすことによる継続的な収益増加に加え、新たに契約予定のジャンケットによる売上追加が期待される。なお、ローリングチップ数に対する勝率は、2.7%から3.0%を想定している。また、マスマーケット向けカジノにおいても、マーケティング施策の継続・改善と、更なる施設拡張 に伴う成長が見込まれる。ホテル客室数や、ショッピングモール店舗、その他施設の追加によって、リゾート全体への来場者数が増え、マスマーケット向けのカジノ売上が増加すると予想している。
 
 UEグループは、オカダ・マニラ事業の現地実施企業「タイガーリゾート・レジャー&エンターテインメント(タイガー・リゾーツ社)」の成長を加速すること及び知名度の向上等のために、2019年中のタイガー・リゾーツ社の株式公開(フィリピン証券取引所[PSE])上場に向けて準備を進めている。株式公開準備の一貫として、PSE上場のAsiabest Group International Inc.(アジアベスト・グループ・インターナショナル:以後ABGと記す)の株式約3分の2を取得する契約を締結することを、2018年9月11日に発表した。
 
 ABGはPSE上場の持株会社と言いながら、ほぼ休眠状況であり、2016年、2017年、2018年上半期ともに収入ゼロと報告されている。「タイガー・リゾート」グループがこのような企業を買収するのは、フィリピンの「タイガー・リゾーツ社」を裏口上場させるための動きと考えられる。すなわち、休眠に近いABGを買収、「タイガー・リゾーツ社」と合併させ、上場ステータスを有するABGを存続会社とすることで、通常の上場プロセスを経ないで、一気に「タイガー・リゾーツ社」を上場会社とすると見られるのである。

 また、タイガーリゾートは9月20日に日本支店を開設し、日本のIR法案に関する調査分析及び日本におけるカジノリゾート事業の可能性について検討を開始している(18年11月9日のユニバーサルエンターテインメント発表などより)。