比トヨタ、9カ月間の純利益35%減の65億ペソ

税制価格の影響、売上高は9%減の1,193億ペソ

2018/11/16

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じて堅調に推移している。特に、TMPの強さが際立っており、2017年まで16年連続の3冠王(総合販売台数、乗用車販売、商用車販売いずれも首位)となっている。
 
 11月15日発表のGTCAPの報告書によると、2018年年初9ヶ月間のTMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比12%減の11万7,080台、小売ベースの販売台数も同18%減の10万9,402台となった。車両税改定(大半の車種が増税)の影響や商業車の供給不足などにより二桁減少となった。市場シェアは37.4%と高水準ながら前年同期の39.4%から低下した。
 
 これらの結果、売上高は前年同期比8.7%減の1,193億ペソにとどまった。減収にくわえ、ペソ安などにともなうコスト増や販管増加などで、営業利益は32.0%減の84億6,550万ペソ、帰属純利益は34.6%減の64億8,320万ペソへと二桁減少した。減収減益となったものの、売上高や利益額は依然高水準であるし、車両税改定に伴う販売数量減少、ペソ安という環境下としては、底堅い業績推移であったといえよう。
 
 下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破している。そして、5年前の2012年と比較すると、売上高は2.6倍、帰属純利益は4.7倍、株主資本は2.4倍へと拡大している。2018年も車両税改定の影響が次第に希薄化し、引き続き100億ペソ超という高水準の利益を計上する可能性がある。
 
トヨタモーター・フィリピン(TMP)の業績等の推移(単位:百万ペソ)
12 13 14 15 16 17 18年9ヶ月間 伸び率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,289.4 155,832.5 185,337.1 119,333.3 -8.7%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,298.5 21,072.3 23,058.8 13,079.7 -20.6%
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.3 13,909.9 15,669.0 16,798.2 8,465.5 -32.0%
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,208.8 10,194.6 11,929.0 13,186.1 6,483.2 -34.6%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,681.4 32,278.3 36,003.4 42,158.3 39,969.6 -5.2%
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,923.3 15,228.4 17,492.3 19,147.6 13,276.7 -30.7%
 (出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。すなわち、今年8月に設立30周年を迎えたのである。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。
 
 また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し間もなく10周年を迎える「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。