9月末の商業銀行総資産、9.9%増の15兆8千億ペソ

1位BDOユニバンクの2兆9千億ペソ、2位メトロバンク

2018/11/28

 フィリピンの銀行業界の業績は2018年9カ月間(1月~6月)も底堅く推移、事業基盤もさらに拡充されつつある。
 
 ビジネスワールド紙によるフィリピン商業銀行レポートによると、2018年9月末の商業銀行(拡大商業銀行{ユニバーサバンク}含む43行)の総資産は前年同期比9.9%増の15兆7,500憶ペソに達した。融資残高は同16.7%増の8兆7,00億ペソとなった。商業銀行の事業基盤は順調に拡大しているといえよう。
 
 健全性においても、バーゼル3基準による対リスク資産自己資本比率(CAR)は単独ベースで14%で、国際基準の8%、BSPの最低基準10%を大幅に上回っている。不良債権(NPL)比率は1.40%とほぼ過去最低水準となり、10年前の4.52%、アジア通貨危機後の最悪であった2002年第1四半期末の17.60%から大幅に改善している。NPL引当率も152.27%へと一段と上昇している。また、第3四半期の自己資本利益率は(ROE)は4.82%で第2四半期の6.38%を下回ったが、前年同期の4.73%を上回った。
 
 既報のとおり、フィリピン証券取引所(PSE)上場の民間銀行の2018年9カ月間(1月~9月)決算が出そろった。上位行の動向は以下のとおり。
 
 資産規模では、BDOユニバンク(BDO)が総資産(2兆9,217億ペソ)、純資産(3,118億ペソ)、受け入れ預金残高(2兆3,459億ペソ)、融資残高(2兆0,092億ペソ)いずれもトップとなっている。総資産で2位のメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)も2兆ペソ超、3位のバンク・オブ・ザ・フィリピン・アイランズ(BPI)も2兆ペソに接近している。バーゼル3基準のリスク加味自己資本比率(CAR)では、セキュリティバンクが18.6%と非常に高水準であることが目立つ。
 
 9カ月間の帰属純利益はBDOが215億2,000万ペソでトップ、2位がBPIの170億1,000万ペソ、3位がメトロバンクの167億5,000万ペソと続く。増益率はフィリピン ナショナル バンク(PNB)の66.8%が断トツ、メトロバンクが27%増益で2位。自己資本利益率(ROE)ではBPIが10.4%でトップ、ユニオンバンクが10.0%で2位となっている。
 
 これまでと同様、規模ではBDO、利益率ではBPI、財務内容の良好さではセキュリティバンクなどが目立っている。
 
フィリピン民間上位銀行の2018年9月末の資産等の状況(単位:億ペソ)
銀行名 総資産 純資産 自己資本比率(CAR) 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 29,217 3,118 13.9% 23,459 20,092
メトロバンク 21,271 2,851 17.8% 15,528 12,534
BPI 19,606 2,488 17.0% 15,425 12,676
PNB 9,107 1,262 14.8% 6,928 5,507
チャイナバンク 8,162 856 13.0% 6,917 4,725
セキュリティバンク 7,330 1,093 18.6% 4,676 4,006
ユニオンバンク 6,430 890 15.9% 4,414 3,153
RCBC 6,144 836 17.3 % 4,101 3,880
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)
 
フィリピン民間上位銀行の2018年9ヶ月間の収益動向(単位:億ペソ)
銀行名 純金利収入 伸率 帰属純利益 伸率 ROE ROA
BDOユニバンク 715.0 20.2% 215.2 5.7% 9.53% 1.02
メトロバンク 510.0 12.5% 167.5 27.0% 9.32% 1.06%
BPI 408.8 15.1% 170.1 0.0% 10.4% 1.20%
PNB 200.4 24.8% 74.5 66.8% 8.22% 1.16%
チャイナバンク 170.8 19.8% 55.6  -2.1% 8.77% 0.97%
セキュリティバンク 152.8 6.6% 65.4 -11.5% 8.14% 1.23%
ユニオンバンク  128.6 3.2% 60.8 -4.8% 10.0% 1.30%
RCBC  146.9 11.7% 32.1 -5.8% 5.94% 0.73%
(出所:各銀行の事業報告書などより作成)