オカダ・マニラ追加建設資金等として6億ドル調達

ユニバーサルEが海外私募債発行、3年物年利8.5%

2018/12/10

 2月7日、カジノ・娯楽関連企業であるユニバーサルエンターテインメント(ジャスダック上場、以下UE社)は、12月6日付にて総額6億米ドル(約680億円)の海外私募債に関する販売代理店契約を締結し、投資家との間でこの私募債についての社債買取契約を締結したと発表した。
 
 この私募債は、2018年12月11日に発行予定、満期は2021年12月11日予定(3年物)、発行価格は額面の99%、利率は年率8.5%となる。販売代理店はユニオンゲーミング・セキュリティーズである。発行手取金は、フィリピンのマニラ湾岸において展開している統合型リゾート(IR)施設「Okada Manila」(オカダ・マニラ)の追加建設資金に加えて、連結子会社である「Tiger Resort Asia Ltd.」(タイガー・リゾート・アジア、所在地:香港)の借り入れの返済資金の一部等に充当予定である。
 
 なお最近、『オカダ・マニラ』プロジェクトの現地実施企業「タイガーリゾート・レジャー&エンターテインメント(タイガー・リゾーツ社)」が、フィリピン証券取引所(PSE)上場の休眠状態の企業を使ってPSEに裏口上場(バックドア・リスティング)しようとする動きが表面化した。
 
 9月11日、「タイガー・リゾーツ社」の親会社である「タイガー・リゾート アジア」が、PSE上場の持株会社「アジアベスト グループ インターナショナル(ABG)」の株式2億株(発行株式総数の66.6%)を取得することで合意したと発表された。
そして、11月12日から12月14日まで、ABG少数株主向けのABG株式公開買い付け(TOB)が実施されつつある。ただし、このTOBに関しては、岡田ファミリーの内紛を背景とした「タイガー・リゾーツ社」などの所有権争い問題がクリアーになっていないとの理由で、一部株主からTOB無効化を求める声もある。
 
 ABGはPSE上場の持株会社と言いながら、ほぼ休眠状況であり、2016年、2017年、そして2018年上半期ともに収入ゼロと報告されている。「タイガー・リゾート」グループがこのような企業を買収するのは、フィリピンの「タイガー・リゾーツ社」を裏口上場させるための動きである。すなわち、休眠に近いABGを買収、「タイガー・リゾーツ社」と合併させ、上場ステータスを有するABGを存続会社とすることで、通常の上場プロセスを得ないで、一気に「タイガー・リゾーツ社」を上場会社とすると考えられる。
 
 なお、小規模や半休眠の上場会社が多く存続していたフィリピンでは、それらを活用した非上場企業の裏口上場がしばしば見られてきた。近年の裏口上場の例としては、 フィリピン航空持株会社PALホールディングス、不動産企業センチュリー・プロパティ―ズ・グループ(CPG)、カジノ企業ブルームベリー・インベストメ ント・ホールディングス(ブルームベリー)やメルコリゾーツ&エンターテインメント・リミテッド(メルコリゾーツ)、学校チェーンのSTIエドケーション・サービス・グループ(STI)、洋酒のエンペラドール、飲料関連持株会社のマッケイ・ホールディングス、鉱業のグローバル・フェロニッケルなどが挙げられる。