住友金属鉱山(住友鉱、本社:東京都港区)のフィリピン子会社であるコー ラルベイニッケル社(CBNC、所在地:パラワン島)は、このほど、フィリピン環境天然資源省より「2018年鉱物産業環境大統領賞(2018 Presidential Mineral Industry Environmental Award, PMIEA)」を受賞した。これは、2014年から5年連続の受賞となる。
本件は金属製錬部門での受賞であるが、プラントにおける環境管理、安全管理、地域環境保護 および地域貢献などを総合的に評価された上で決定される。PMIEAの受賞とあわせて、CBNC は「鉱業森林計画最優秀賞」および「最優秀鉱山安全賞」も受賞しており、3賞同時受賞となった。また、同じく子会社であるタガニートHPALニッケル社(THPAL、所在地:ミンダナオ島)も、「プラチナム賞(PMIEAに次ぐ第2位)」を受賞した。THPAL は、2016年と2017年に「チタン 賞(プラチナム 賞に次ぐ第3位)」を受賞している。
11月23日にフィリピン・バギオ市で開催された全国鉱山安全環境会議にて、表彰式が執り行われた。 PMIEAは、フィリピンの鉱物産業界において最も栄誉ある賞である。同賞の受賞は、CBNCとTHPALがフィリピンにおいて安全かつ環境に配慮した操業を継続していることが認められたものであるとのこと。
CBNCおよびTHPALでは、周辺地域のインフラ整備、雇用の拡大、資材の現地調達などを通じた社会貢献、また、環境負荷を最小限に抑えた操業、環境事故の防止、CBNCで実現させたテーリングダムの緑化による生態系の回復など、生物多様性の保全を図りながら、責任ある操業に努めているとのことでもある。
住友鉱はこのようにフィリピンで環境に配慮しながら、事業基盤拡大、資源高度有効活用を推進している。世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須となっている。住友鉱は従来回収困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルおよびコバルトを回収する技術であるHPAL(High Pressure Acid Leach=高圧硫酸浸出)の商業生産化に世界で初めて成功し、2005年からフィリピンのCBNCで、ニッケル中間製品であるMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)の生産を開始した。2009年4月にはCBNCにおける第2工 場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万4千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。
このような実績を背景として、住友鉱はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを2013年に完成させ、世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を固めた。タガニート・プロジェクトにおいては、傘下のタガニートHPAL社(THPAL)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、MS(ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算、以下同様)から3万6千トンへと高めている。THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率は住友金属鉱山75 %、ニッケル・アジア(NAC)10%、三井物産15%となっている。