12月のインフレ率5.1%に、7カ月ぶりの低水準

18年平均は5.2%、年間で10年ぶりの高インフレ

2019/01/07

  フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2018年12月の総合インフレ率(総合消費者物価指数、2012年=100)は5.1%(速報値)となり、前月からは0.9%ポイント急鈍化、2018年5月の4.6%以来、7カ月ぶりの低水準となった。

 しかし、2018年の年間の平均インフレ率は5.2%(2012年基準)で、政府のインフレ目標(2-4%)の上限を1.2%ポイント上回った。2017年の平均インフレ率2.9%からは2.3%ポイント急上昇、2008年の8.2%(2000年基準)以来、10年ぶりの高水準となった。年間平均インフレ率は2013年2.6%、2014年3.6%、2015年0.7%、2016年1.3%、2017年2.9%、そして、2018年5.2%と推移している。

 2018年12月は、食品、非食品共にインフレ率が鈍化した。国際原油価格の下落に伴う石油製品の値下がりで輸送コストが低下し、一旦値上げされた乗り合いジープニーの最低運賃が特定地域において暫定的に元に戻されたこと、ほとんどの食品の物価が前年同月を下回ったことなどが、インフレ率の鈍化に寄与した。

 12月の特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は4.7%で、前月から0.4%ポイント鈍化した。

 総合インフレ率を地域別で見ると、首都圏4.8%で前月から0.8%ポイント鈍化。地方は5.3%と前月から0.9%ポイント鈍化。インフレ率が最も高かった地方はミンダナオ・イスラム教徒自治区(7.5%)、次いで、イロコス(7.0%)、ビコール(7.0%)。最もインフレ率が低かった地方は、コルディリェラ自治区(3.4%)、次いで中央ルソン(4.0%)。

 なお、中央銀行(BSP)発表によると、12月の総合インフレ率(2012年=100)5.1%への寄与度は、食品・非アルコール飲料2.6%(うち食料品2.2%)、住宅・水道光熱費0.9%、交通・輸送費0.3%、外食・サービス他0.5%、酒類・煙草0.3%、健康・医療0.2%、衣料・靴類0.1%、家具・住宅設備管理0.1%など。一方、年間の平均インフレ率5.2%への寄与度は、食品・非アルコール飲料2.6%(うち食料品2.3%)、住宅・水道光熱費0.9%、交通・輸送費0.5%、外食・サービス他0.4%、酒類・煙草0.3%、健康・医療0.1%、衣料・靴類0.1%、家具・住宅設備管理0.1%など。


総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率:2012年基準、前年同月比%)
項目 2018年12月 2018年11月 2017年12月 18年1-12月
全国    総合インフレ率 5.1 6.0 2.9 5.2
       コアインフレ率 4.7 5.1 2.2 4.2
首都圏  総合インフレ率 4.8 5.6 4.2 5.5
地方    総合インフレ率 5.3 6.2 2.5 5.1
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

総合CPI上昇率(2012年基準、前年同月比%)
項目 17年 18年
12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
総合 2.9 3.4 3.8 4.3 4.5 4.6 5.2 5.7 6.4 6.7 6.7 6.0 5.1
食料品・非アルコール飲料 3.5 4.4 4.8 5.9 5.9 5.7 6.1 7.1 8.5 9.7 9.4 8.0 6.7
酒類・煙草 6.3 12.2 16.9 18.6 20.0 20.5 20.8 21.5 21.6 21.8 21.6 21.8 21.7
衣料・靴類 1.8 1.9 2.0 2.0 2.2 2.2 2.2 2.4 2.4 2.5 2.5 2.7 2.8
住宅・水道光熱費 2.8 2.8 2.6 2.9 3.0 3.0 4.6 5.6 5.5 4.6 4.8 4.2 4.1
家具・住宅設備管理 2.1 2.2 2.4 2.7 2.8 2.9 3.0 3.3 3.5 3.5 3.7 4.0 3.8
健康・医療 1.6 2.1 2.1 2.4 2.8 2.8 2.7 3.7 4.0 4.1 4.3 4.5 4.8
交通・輸送 4.0 4.5 5.7 4.6 4.9 6.2 7.1 7.9 7.8 8.0 8.9 8.9 4.0
通信 0.3 0.3 0.2 0.3 0.3 0.3 0.4 0.5 0.4 0.5 0.5 0.4 0.4
娯楽・文化 1.3 1.5 1.4 1.4 1.5 1.5 1.4 0.9 2.5 3.0 3.1 3.2 3.2
教育 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 4.0 -3.9 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8
外食・雑貨・サービス 1.9 2.2 2.5 3.0 3.4 3.7 3.6 3.7 4.0 4.0 4.2 4.5 4.3
首都圏 4.2 4.7 4.7 5.2 5.2 4.9 5.8 6.5 7.0 6.3 6.1 5.6 4.8
 地方 2.5 3.1 3.6 4.1 4.3 4.6 5.1 5.5 6.2 6.8 6.8 6.2 5.3
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

食料品物価上昇率(2012年基準、前年同月比%)
項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
18/1月 4.6 1.5 7.6 5.1 3.3 6.5 12.3 2.2 4.3 1.8 -1.9 0.7
2月 4.8 2.8 10.4 6.2 2.7 6.6 11.2 2.3 4.0 2.9 -1.6 2.0
3月 5.7 3.6 11.1 7.1 6.0 6.1 12.9 2.0 3.8 3.5 -0.9 3.5
4月 5.5 4.3 13.4 6.7 6.8 5.0 12.3 2.0 3.5 4.1 0.0 3.4
5月 5.5 4.3 13.7 5.5 7.0 4.8 11.4 2.1 3.1 4.1 0.6 3.0
6月 5.8 4.7 14.1 5.3 8.6 5.0 11.2 2.2 3.1 4.5 3.9 3.1
7月 6.8 5.0 13.0 5.1 16.0 5.8 11.4 2.4 3.6 4.9 7.4 3.7
8月 8.2 7.1 12.6 6.2 19.2 7.6 12.4 2.7 3.8 6.3 9.1 4.1
9月 9.7 10.4 8.7 5.6 21.0 8.4 13.4 2.7 4.2 8.6 10.3 4.8
10月 9.2 10.7 7.5 4.3 15.8 7.5 13.8 2.9 4.7 8.9 10.9 5.1
11月 7.7 8.1 4.8 3.9 11.5 6.3 12.5 3.0 4.9 7.0 10.5 5.2
12月 6.3 6.0 2.6 3.8 8.1 5.5 9.9 2.9 4.8 5.5 9.7 5.9
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

2018年12月のインフレ率(2012年=100)と寄与度(単位:%)
項目 物価指数 12月 1-12月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.0 5.1 5.1 5.2 5.2
食品・非アルコール飲料 38.34 6.7 2.6 6.8 2.6
   うち食料品のみ 35.46 6.3 2.2 6.6 2.3
酒類・煙草 1.58 21.7 0.3 20.0 0.3
衣料・靴類 2.93 2.8 0.1 2.4 0.1
住宅・水道光熱費 22.04 4.1 0.9 3.9 0.9
家具・住宅設備管理 2.95 3.8 0.1 3.1 0.1
健康・医療 3.89 4.8 0.2 3.3 0.1
交通・輸送 8.06 4.0 0.3 6.6 0.5
通信 2.93 0.4 0.0 0.3 0.0
娯楽・文化 1.41 3.2 0.0 2.0 0.0
教育 3.28 -3.8 -0.1 -0.8 0.0
外食・サービス他 12.59 4.3 0.5 3.6 0.4
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)