バンサモロ暫定自治政府発足、日本が継続支援

河野外務大臣が歓迎談話、更なる支援強化表明

2019/02/25

  河野太郎外務大臣は2月22日、フィリピンのミンダナオ島におけるバンサモロ暫定自治政府の発足に際して、以下のような歓迎談話を発表した。

 『日本は、22日、バンサモロ暫定自治政府が発足したことを心から歓迎します。これは、ミンダナオ和平プロセスの大きな進展を示す重要な一里塚です。この和平の進展を、目に見える形でミンダナオの人々の生活の向上に繋げることが、平和の定着を確保する上で極めて重要です。このため、日本は過去10年以上にわたり一貫して和平プロセスを支援してきたパートナーとして、この機会を捉えてミンダナオ支援を一層強化します。

 今月、ミンダナオの人々の生活の基盤を支える道路整備支援のため2億ドルの借款を供与するための交換公文が署名されました。また、マラウィ市の職業訓練センターの再建に関する無償資金協力についても交換公文が署名されました。日本は、農業分野における生計向上、上水施設の建設なども支援する方針です。さらに、正常化(モロ・イスラム解放戦線(MILF)兵士の退役・武装解除)の初期の活動を支援するため、UNDPを通じて、合同和平治安チーム(JPST)や独立退役・武装解除機関(IDB)への約1.6億ペソ(約3億円)に相当する車両や機材支援を実施します。これらの新規支援は2006年に始まった日本バンサモロ復興開発イニシアティブ(J-BIRD)によるこれまでの支援総額に匹敵するものです。

 日本は、ミンダナオの人々に平和の恩恵を届けるため、今後も和平プロセスの更なる進展に応じて支援を強化していきます。』(以上、ほぼ発表原文のまま)。

<ミンダナオ和平について>
(1)フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)との和平交渉により、アキノ前政権下の2012年10月に「枠組み合意」が、2014年3月に最終的な「包括和平合意」が署名された。

(2)最終和平合意に基づき、移行プロセスとして、(ア)バンサモロ基本法の制定、(イ)住民投票の実施、(ウ)暫定自治政府の設置、(エ)バンサモロ議会選挙を経て、新たな自治政府(バンサモロ)が創設される。

(3)日本は、(ア)国際監視団の社会経済開発部門への開発専門家派遣、(イ)紛争影響地域に対する人間の安全保障・草の根無償資金協力など経済協力プロジェクトの集中的実施(J-BIRD:Japan-Bangsamoro Initiatives for Reconstruction and Development)、(ウ)和平プロセスのオブザーバーとして助言を行う国際コンタクト・グループへの参加等を通じ、和平プロセスの進展及びミンダナオ地域の復興・開発を積極的に支援してきている。

(4)また、2017年10月のドゥテルテ大統領訪日時に発表した「今後5年間の二国間協力に関する日フィリピン共同声明」において、日本は中長期的な視点から、J-BIRDの下でこれまで行ってきた幅広い分野におけるミンダナオ開発支援を強化していくことにより、日本の支援を、バンサモロにおける新たな自治政府の設立に向けたプロセスの進展に呼応させることを表明した(19年2月22日の日本外務省発表より)。