センチュリー不動産、三菱商事との合弁事業開花期に

2018年の純利益72%増の11億ペソへ急増

2019/03/20

 有力不動産企業のセンチュリー・プロパティーズ・グループ(センチュリー不動産グループ、CPG)は3月19日、2018年(1月~12月)の決算速報を発表した。

 それによると、2018年の報告純利益は前年比(以下同様)72%増の11億ペソ、収入は60%増の107億ペソと大幅な増収増益になった。コンドミニアム3棟、オフィスビル1棟、三菱商事との合弁事業である低価格分譲住宅259戸の完成が増収増益に大きく寄与した。低価格分譲住宅事業などが純利益の23%を占めるに至っている。2019年の設備投資予定額は80億~100億ペソであり、住宅・オフィス開発事業及び用地取得に充当される。

 なお、CPGは高層コンドミニアム開発を中心とした事業展開を行ってきたが、近年はオフィスやモール賃貸事業、ホテル事業などの多角化を進めている。また、事業基盤の拡大などにより新たな成長を目指している。2018年末にはボニファシオ・グローバルシティ(BGC)にグリーン・オフィスビル「Asian Century Center」(アジアン・センチュリー・センター)が完工した。2019年には、三菱商事との合弁によるマカティ市の35階建て高級オフィスビル「センチュリー・ダイヤモンド・タワー」(リース可能床面積5万8,618平米)が完工、戦力化する。CPGの賃貸可能総床面積(GLA)は現在13万3,000平米で、2020年までに30万平米に拡大する見通し。

 上記のように、三菱商事と提携して、「PHirst Park Homes」ブランドのもと、新興中間層向け低価格分譲住宅事業を展開しており、今後4~5年内に3万3,000戸(販売総額570億ペソ)を発売する予定。この「PHirst Park Homes」第1号プロジェクトは、マニラ中心部の南に位置するカビテ州タンザにおいて26ヘクタールの敷地を取得し、約3,000戸の住宅を集積させたコミュニティを開発するというもの。開発は三菱商事40%、センチュリー社60%の出資比率でフィリピン国内に設立の合弁会社を通じて進められている。

 マニラ首都圏では、経済成長に伴い急速に人口が増加し、都心部への流入が進んでおり、住宅不足と住宅価格高騰が継続している。フィリピン政府は都心および都心近郊の住環境の整備を喫緊の課題と捉えており、このプロジェクトはこの様なフィリピン政府の課題の解決に寄与するものと考えられる。

 フィリピンは2014年に人口が1億人を突破し、2050年には約1.5億人に達すると予測されている。また、経済的にも過去5年間、GDP成長率年平均約6%超と東南アジア諸国の中でも高い成長を遂げており、今後も若い労働人口の増加や、高い教育水準を背景に、アジアの中で最も成長が期待できる国の一つと位置付けられている。CPGは、カビテ州タンザ事業を起点に分譲住宅開発事業を推進していく方針である(19年3月19日のフィリピン証券取引所回覧01666-2019号などより)。