丸紅・中電・関電、比スマートグリッド事業へ参画

メラルコと合弁、ニュークラークシティで電力供給

2019/04/04

  丸紅、関西電力、中部電力、およびフィリピン最大の配電事業会社であるマニラ電力(メラルコ)は共同で、フィリピン・ニュークラークシティ(NCC)におけるスマートグリッド事業に参画する。

 この事業は、フィリピン基地転換開発公社(BCDA)が、マニラ首都圏の北西約120キロメートルにあるクラーク米空軍基地跡地に、環境に配慮したスマートシティーの開発を行う事業の第一弾として、フィリピンにおいて初のスマートグリッド設備の設計、建設、保守、運営を行うものである。

 スマートグリッド事業とは、配電事業に加え、家庭、オフィス、工場等に設置するスマートメーターによって詳細な電力消費量をリアルタイムで把握し、集積したデータを活用することにより効率的な電力供給システムを構築するものである。
 
 また、ニュークラークシティ(NCC)とは、BCDAがクラーク米空軍基地の跡地(9,450ヘクタール)で開発を計画している大規模新都市のことである。 首都マニラが抱える交通渋滞や人口密集などの課題解決を目指し、政府施設移転、高速鉄道等 の建設等により2065年までに120万人の居住人口と80万人の雇用を創出する国家プロジェクト。

 今後は、丸紅が18%、関西電力が9%、中部電力が9%、メラルコが54%、BCDAが10%を出資する事業会社を通じて、電力供給を行う。その後、NCCの拡大に合わせてスマートグリッド設備を順次拡張し、NCCの持続的な発展に寄与していく方針である。

 丸紅は、世界22カ国で持分発電容量1万2,000MWを超える規模の発電資産を保有している。フィリピンにおいては、1960年代より50余年に亘り電力事業を行っており、1990年代初頭からは発電事業に参入、現在は6つの発電所で計1,466MWの持分発電容量を保有し、発電事業に関する知見を蓄積してきた。上記事業では、丸紅が保有する海外電力事業の知見に加え、関西電力、中部電力が日本国内で培ってきた効率的かつ安定的な電力供給に関する知見、およびスマートグリッド事業に関する知識、メラルコのフィリピンにおける配電事業の豊富な経験を活かし、地域密着型の電力サービス事業の拡大を目指していく。

<「ニュークラークシティ(NCC)」におけるスマートグリッド事業案件概要>
 大統領直轄の政府機関であるBCDAが、マニラ首都圏の北西約120kmに位置するクラーク米空軍基地の跡地にて行う都市開発案件。開発に先立ち、BCDAは国土交通省傘下の海外交通・都市開発事業支援機構と共同で都市開発のマスタープランを作成。当該地域を環境配慮都市・クラークグリーンシティとして、電力・上下水・ガス・通信・交通インフラの整備、工業団地・住宅商業施設の開発、先端研究施設・大学・病院等の誘致を行い、4フェーズに分けて2065年までに人口120万人の大規模都市とすべく、段階的に開発を行うもの。 本件においてBCDAは配電事業の主要許認可及び変電設備・配電網の整備に必要となる土地の使用権を提供。都市開発の拡大に応じ配電設備を順次拡充していく。 事業期間は25年間(2019年~2044年)。 更に25年間の事業期間延長が可能となっている(19年4月4日の丸紅株式会社ニュースリリースなどより)。