比セブン-イレブン独走続く、2018年末2,550店に

一年間で265店増加、純利益16%増の15億3千万ペソ

2019/04/12

  フィリピンでもコンビニエンス業界の競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセブン-イレブンをマーキュリー・セルフサービス、ミニストップ、ファミリーマートなどが追うという構図になっている。2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープン、現在39店に達しているとみられる。

 首位のセブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが52.216%(2018年12月末現在)を所有するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2016年末には1995店、2017年末には2,285店に達し、フィリピンでの24時間営業のブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%超を誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 2018年も店舗数が順調に増加している。2018年12月末で2,550店に達し、前年同月末の2,285店から265店、率にして11.6%増加した。一年間で290店を新規オープン、25店を閉鎖、すなわち265店の純増となったのである。そして、ミニストップ(2018年12月末499店)やファミリーマート(同69店)との差を拡大させている。
 
 2018年12月末のセブン-イレブン2,550店の地域別内訳はルソン地域1,965店(うちマニラ首都圏938店)、セブを中心とするビサヤ地域365店、ダバオを中心とするミンダナオ地域220店となっている。また自営店が45%、フランチャイズ店が55%となっている。

 このようなPSCの2018年のグループ全売上高は前年比(以下同様)22.9%増の461億ペソ、商品売上高は23.7%増の397億ペソに達した。増収効果や効率化効果などにより営業利益は16.2%増の22億7,270万ペソ、純利益も16.2%増の15億3,180万ペソと二桁増となった。1株当たり純利益(EPS)も同16.2%増の2.03ペソに達した。特に、第4四半期(10月~12月)の純利益が18.9%増の7億9,640万ペソと好調であった。

 2018年の二桁増収増益の要因は、新店効果に加え、既存店売上高が8.8%増と好調だったことなどである。2018年初から導入された税制促進包括改革(TRAIN)パッケージ1については、個人所得税率引き下げによる購買力向上という好影響をもたらした。また、加糖飲料への課税に関しても、売上数量は落ち込むことはなく、売上単価の上昇という効果をもたらした(19年4月11日のフィリピン証券取引所回覧02363-2019号などより)。


フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9 1,531.8
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)  

主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 15年 16年 17年 18年 19年
3月 6月 9月 12月 3月
セブン-イレブン 1,602 1,995 2,285 2,329 2,386 2,442 2,550 N.A
ミニストップ 519 499 496 489 488 496 499 512
ファミリーマート 120 99 66 64 65 66 69 69
ローソン 16 29 31 34 34 36 38 39
(出所:各社資料より作成、ミニストップとファミリーマートは日本側発表数値、ローソンはウエブ等か出ら推計)