日本格付研究所の比格付、待望のAが間近に

BBB+に据置も格付見通しポジティブに引き上げ

2019/04/26

 このほど日本格付研究所(JCR)が、フィリピンの格付を据置くと発表した。

 具体的には、外貨建長期発行体格付とペソ建て長期発行体格付ともに、これまでの「トリプルBプラス(BBB+)」が継続される。しかし、格付見通し(アウトルック)は、これまでの「安定的」から「ポジティブ」へと引き上げられた。格付け見通しの「アウトルック」は、近い将来に格付自体の引き上げの可能性があるという意味である。「トリプルBプラス(BBB+)」は投資適格最低基準の2段階上であり、A格付の一段階下の水準である。格付が「トリプルBプラス(BBB+)」で、見通しが「ポジティブ」というのは、A格付が明瞭に視野に入ってきたといえよう。

 JCRは、フィリピンの堅調な内需を背景にした高水準かつ持続的な経済成長パフォーマンス、GDP対比で低水準に抑制された対外債務や外貨準備の蓄積等にみられる対外ショックに対する耐性、良好な政府財政ポジションなどを高く評価している。そして、「インフラ整備などによる投資環境の改善が長年の政策課題であったが、ドゥテルテ政権下で公共投資プログラムに基づきインフラ支出が拡大していることに加え、予算改革による予算執行率の改善もありインフラ整備が加速している。他方、政府は財源確保の一環として包括的税制改革 (CTRP)を強力に推進している。徴税基盤の強化と顕著な経済成長の下での増収により、インフラ開発と財政規律の両立が可能となってきた。今後、財政赤字は管理可能な水準に維持されるとともに、政府債務も GDP 対比で緩やかに低下するとみている」と説明している。

 そして、「インフラ開発とCTRP の進展を見極めるため格付自体は据え置きとするものの、格付の見通しをポジティブに変更した。今後の進展を確認し格付に反映していく」と結論付けている(19年4月19日の株式会社日本格付研究所発表より)。