ソレア第1四半期40%減益、オカダ・マニラの猛追影響か

収入1%減の136億ペソ、オカダ・マニラ90%増の100億ペソ

2019/05/09

 フィリピン政府は、国家プロジェクトとして観光事業を強力に推進することを目的に、マ二ラ湾岸沿いに「マニラベイ・エンターテインメントシティー」を創設しつつある。そこでは、日本のユニバーサルエンターテインメント・グループを含む4グループのカジノ複合リゾート施設の開発が行われたり、行われつつある。

 その4グループの一つが当地最大の港湾企業インターナショナル・コンテナ・ターミナル・サービシズ(ICTSI)の総帥エンリケ・ラソン氏傘下のブルームベリー・リゾーツ(ブルームベリー)である。ブルームベリーによる大型カジノリゾート「ソレア・リゾート&カジノ」(ソレア)が、2013年3月、「マニラベイ・エンターテインメントシティー」の第1号カジノリゾートとして開業した。
 
 このブルームベリーが、5月8日、2019年第1四半期(1月~3月)の決算を発表した。それによると、今第1四半期の総収入は前年同期比(以下同様)1%増の139億ペソ(うちソレアは1%減の136億ペソ)と伸び悩んだ。VIPテーブル収入が16%減の60億ペソにとどまったことが響いた。一方、キャッシュ営業費用は8%増の62億ペソとなった。金利負担が2.7倍の14億ペソへと急増したこともあって、帰属純利益は40%減の22億ペソへと急減した。税金・金利・償却前利益(EBITDA)は1%減の45億ペソであった。

 なお、ブルームベリーは積極的に事業基盤拡充を進めつつある。まず、マニラ首都圏ケソン市ベルティス・ノースにおいて、ブルームベリー国内2カ所目のカジノリゾート(ソレア・ノース)を建設する計画である。さらに、パラニャーケ市のソレア隣接地に、ソレア・クルーズセンターを建設する計画も表明した。世界初となるこのクルーズセンターは、クルーズ船専用母港・寄港の機能を有し、出入国管理事務所、検疫事務所、税関、レストラン、マリーンスポーツやその他の娯楽施設などを併設する計画である。このような先行投資負担が減益の一要因になっているが、競合企業の台頭も影響しているようだ。

 ユニバーサルエンターテインメントは、4月12日、ソレアに近接しているカジノリゾート「Okada Manila(オカダ・マニラ)」の2019年3月度の月次実績(速報値)等にについて発表した。それによると、2019年第1四半期(1月~3月)の総売上高は前年同期比90%増の100億5,500万ペソ、そのうち、カジノ総売上高は91%増の95億1,700万ペソ、その他売上高は67%増の5億3,800万ペソと各々急増した。調整後EBITDAは15億1,900万ペソで、前年同期から約38倍の増加となった。すなわち、ソレアを猛追という感がある。「オカダ・マニラ」は2016年12月にソフトオープン、その後施設を拡充してきている。