比トヨタ環境対策推進、生産時のCO2排出急減

発売10周年のハイブリッド車啓蒙・普及活動にも注力

2019/05/30

 環境を経営の最重要課題のひとつと位置付け、CO2排出ゼロにとどまらず環境へのプラスを目指すトヨタグループの一員として、トヨタ自動車のフィリピン拠点であるトヨタモーター・フィリピン(TMP)もクルマの製造時におけるCO2排出量ゼロを目指す「工場CO2ゼロチャレンジ」など環境マネジメントを強化している。

 TMP製造工場は環境保全を最優先にデザインされており、太陽光発電システムの導入なども積極的に進められている。それらの結果、下表のとおり、製造における一台当たりのエネルギーや水の消費量が減少傾向を辿っている。2017年には電力消費量が前年比7%減少、水使用量は7%した。そして、生産一台当たりのCO2排出量は2016年に11%減、2017年に6%減と急ピッチで削減されてきている。


トヨタモーター・フィリピンの生産1台当たりのエネルギー等の消費量・CO2排気量推移
項目 2015年 2016年 2017年 17年変化率
電力消費量(kWh) 477.75 416.77 387.80 -7%
LPG消費量(キログラム) 11.79 11.82 11.27 -5%
軽油消費量(リットル) 5.51 4.84 5.24 8%
水消費量(立米) 4.40 3.61 3.30 -9%
CO2排出量(トン) 0.30 0.27 0.25 -6%
(出所:TMPサステナビリティレポートなどより作成)
 

 このほか、環境保全の観点から森林再生への取組みがますます重要になるとの認識に立ち植林活動を積極推進してきている。また、ハイブリッド車(HV)の啓蒙・普及やそれによる環境保全啓蒙活動を加速化している。TMPが2009年央にフィリピン初となるHV「プリウス」を発売した。すなわち、プリウス発売10周年を迎えつつある。2012年1月には「プリウスC(日本名:アクア)」を発売しつつある。レクサス車販売会社であるレクサス・マニラもHVを投入している

TMPはHV啓蒙・普及活動の一環として、3月にHVキャンパスツアーシリーズを開始した。まず、マプア大学機械工学&エンジニアリング(MME)学部と協働で、イントラムロスのマプア大学校庭において、シンポジウムや試乗会を通じてのHV技術に関する啓蒙活動が実施された。今後、他大学においても同様なイベントが実施される予定である。
 さらに、5月29日には、首都圏タギグ市において、政府関係者などを対象に、トヨタHV技術会議を開催した。そして、電気代が高く充電ステーションの整備が進んでいないフィリピンでは、エコカー普及においては、HVが現実的な選択肢と考えられるなどと訴えた。

 フィリピンでは本格的なエコカー優遇法案未成立などにより、HVなどエコカーは普通車に比べかなりの割高感を感じさせる販売価格の設定を余儀なくされている。プリウスの販売価格は220万ペソ(約480万円)で、現時点で販売台数は限定的なものとなっている。ちなみに、2018年のTMCのHV販売台数は16.7%増の105台であったとのことである。本格的なエコカー優遇法案などの成立が待たれるところである。