6月のインフレ率2.7%、22カ月ぶりの低水準

食品価格鈍化が主要因、上半期平均3.4%に

2019/07/06

 フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2019年6月の総合インフレ率(総合消費者物価指数、2012年=100)は2.7%(速報値)となり、前月から0.5%ポイント低下した。そして、2017年8月の2.6%以来、22カ月ぶりの低インフレとなった・これらの結果、上半期(1月~6月)の平均インフレ率は3.4%となり、インフレ目標圏(2%から4%)内での推移となっている。

 6月のインフレ率が前月より鈍化した主な理由は、物価指数構成比の約4割を占める食品・非アルコール飲料が2.7%へと0.7%ポイント鈍化したこと。さらに、住宅・水道・光熱費(3.0%)、交通・輸送費(1.6%)等7品目(11品目中)が鈍化したことによる。前月から上昇したのは、健康・医療(3.7%)と娯楽・文化(3.2%)。横ばいは、衣料・履物類(2.4%)と外食・雑貨・サービス(3.3%)の2品目であった。

 6月の特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は3.3%で、前月から0.2%ポイント低下した。

 総合インフレ率を地域別で見ると、首都は3.0%で前月から0.4%ポイント低下、地方は2.6%と前月から0.5%ポイント低下した。インフレ率が最も高かった地域は、ミマロパ(5.2%)、次いで、北ミンダナオ(3.7%)。最もインフレ率が低かった地域は、サンボアンガ半島(0.7%)、次いで中央ビサヤ(1.1%)。

 なお、中央銀行(BSP)発表によると、6月の総合インフレ率2.7%への寄与度は、食品・非アルコール飲料1.0%(うち食品0.9%)、住宅・水道光熱費0.7%、外食・サービス他0.4%、交通・輸送費0.1%、酒類・煙草0.1%、健康・医療0.1%、衣料・靴類0.1%など。一方、上半期の平均インフレ率3.4%への寄与度は、食品・非アルコール飲料1.5%(うち食品1.3%)、住宅・水道光熱費0.7%、外食・サービス他0.5%、酒類・煙草0.2%、健康・医療0.1%、交通・輸送費0.2%、衣料・靴類0.1%など。


      総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率:2012年基準、前年同月比%)
項目 19年6月 19年5月 18年6月 19年1-6月
全国    総合インフレ率 2.7 3.2 5.2 3.4
       コアインフレ率 3.3 3.5 4.3 3.7
首都圏  総合インフレ率 3.0 3.4 5.8 3.5
地方    総合インフレ率 2.6 3.1 5.1 3.4
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

      インフレ率(2012年基準)とインフレ目標の推移(インフレ率予想は中央銀行による) 
2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年予 2020年予
インフレ率実績 2.6% 3.6% 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.7%予 3.0%予
インフレ目標  3~5% 3~5% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%
 (出所:フィリピン国家統計庁と中央銀行資料より作成)


                    総合CPI上昇率(2012年基準、前年同月比%)
項目 18年 19年
6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月
総合 5.2 5.7 6.4 6.7 6.7 6.0 5.1 4.4 3.8 3.3 3.0 3.2 2.7
食品・非アルコール飲料 6.1 7.1 8.5 9.7 9.4 8.0 6.7 5.6 4.7 3.4 3.0 3.4 2.7
酒類・煙草 20.8 21.5 21.6 21.8 21.6 21.8 21.7 16.1 12.2 10.8 9.9 9.5 9.3
衣料・履物類 2.2 2.4 2.4 2.5 2.5 2.7 2.8 2.5 2.4 2.5 2.4 2.4 2.4
住宅・水道光熱費 4.6 5.6 5.5 4.6 4.8 4.2 4.1 4.0 3.7 3.4 3.2 3.3 3.0
家具・住宅設備管理 3.0 3.3 3.5 3.5 3.7 4.0 3.8 3.9 3.8 3.4 3.2 3.2 3.1
健康・医療 2.7 3.7 4.0 4.1 4.3 4.5 4.8 4.3 4.2 3.9 3.6 3.6 3.7
交通・輸送 7.1 7.9 7.8 8.0 8.9 8.9 4.0 2.5 1.2 3.3 3.8 3.5 1.6
通信 0.4 0.5 0.4 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.4 0.3 0.4 0.4 0.3
娯楽・文化 1.4 0.9 2.5 3.0 3.1 3.2 3.2 3.2 3.1 3.1 3.1 3.1 3.2
教育 4.0 -3.9 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -3.8 -4.5
外食・雑貨・サービス 3.6 3.7 4.0 4.0 4.2 4.5 4.3 4.3 4.0 3.7 3.5 3.3 3.3
首都圏 5.8 6.5 7.0 6.3 6.1 5.6 4.8 4.6 3.8 3.2 3.1 3.4 3.0
 地方 5.1 5.5 6.2 6.8 6.8 6.2 5.3 4.4 3.8 3.4 3.0 3.1 2.6
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


                   食料物価上昇率   (2012年基準、前年同月比%)
項目 食品 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
18/6月 5.8 4.7 14.1 5.3 8.6 5.0 11.2 2.2 3.1 4.5 3.9 3.1
7月 6.8 5.0 13.0 5.1 16.0 5.8 11.4 2.4 3.6 4.9 7.4 3.7
8月 8.2 7.1 12.6 6.2 19.2 7.6 12.4 2.7 3.8 6.3 9.1 4.1
9月 9.7 10.4 8.7 5.6 21.0 8.4 13.4 2.7 4.2 8.6 10.3 4.8
10月 9.2 10.7 7.5 4.3 15.8 7.5 13.8 2.9 4.7 8.9 10.9 5.1
11月 7.7 8.1 4.8 3.9 11.5 6.3 12.5 3.0 4.9 7.0 10.5 5.2
12月 6.3 6.0 2.6 3.8 8.1 5.5 9.9 2.9 4.8 5.5 9.7 5.9
19/1月 5.1 4.7 0.9 2.2 5.6 5.0 7.8 2.6 4.5 4.4 8.5 5.8
2月 4.2 2.9 -0.3 1.8 4.9 4.1 7.8 2.5 4.1 2.9 8.0 3.5
3月 3.1 1.4 -2.4 1.7 4.0 4.1 4.8 2.5 3.8 1.8 7.1 3.5
4月 2.9 0.0 -3.0 2.4 7.6 3.9 3.3 2.6 3.4 0.7 6.2 5.3
5月 3.2 -0.7 -2.8 4.6 12.5 3.4 4.2 2.6 3.0 0.3 5.4 6.8
6月 2.6 -1.7 -4.0 5.0 9.5 3.3 3.8 2.5 2.9 -0.6 2.2 7.3
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


            2019年6月及び上半期のインフレ率(2012年=100)と寄与度     (単位:%)
項目 物価指数
構成比
6月 1-6月
インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.0 2.7 2.7 3.4 3.4
食品・非アルコール飲料 38.34 2.7 1.0 3.8 1.5
   うち食品のみ 35.46 2.6 0.9 3.5 1.3
酒類・煙草 1.58 9.3 0.1 11.3 0.2
衣料・履物類 2.93 2.4 0.1 2.5 0.1
住宅・水道光熱費 22.04 3.0 0.7 3.4 0.7
家具・住宅設備管理 2.95 3.1 0.1 3.5 0.1
健康・医療 3.89 3.7 0.1 3.8 0.1
交通・輸送 8.06 1.6 0.1 2.6 0.2
通信 2.93 0.3 0.0 0.4 0.0
娯楽・文化 1.41 3.2 0.0 3.1 0.0
教育 3.28 -4.5 -0.1 -4.0 -0.1
外食・サービス他 12.59 3.3 0.4 3.7 0.5
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)